「美少女」と「小説」をめぐる冒険

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虚構と現実が交錯する新進気鋭のメタ文学

投稿者: 目目連 健司 [2018年 01月 13日 01時 34分 ()]
『小説に課せられた、形式の枷を取り払う』という著者の提言通りに小説は小説としての形式を脱していき、小説という概念を完膚なきまでに覆された素晴らしい小説だった。

イタロ・カルヴィーノの『冬の夜のひとりの旅人が』や、筒井康隆の『虚人たち』など、物語を外側からとらえなおすという試みは古来より行われてきたが、この作品は即興で書くという偶発性からくる著者による外側からの目線と、小説世界の虚構性の象徴である『比喩ちゃん』、それに小説世界と現実世界の狭間で揺れる『境界人』という3つの視点が小説の内外で交錯しているという文学史上初めての極めて難しい試みをしていた。

しかし、難しい試みに相応しても有り余る独特な鋭い語彙で小説を豊かに彩っており、その『流行の潮流に呑まれ』ることのない圧倒的な文章力には脱帽した。

これからも文学史に名を刻むような活躍を期待したい。
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