イチオシレビュー一覧

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あなたはどんなあなたが好きですか?

 いろんな物語を読みたい、そして書いてみたいですよね。シリアス、ドロドロな話、ピュアな恋愛小説、殺人鬼の話、ほのぼのとした童話だって。
 ヨム時はその時の自分の気持ちに合わせて──でも、カク時は作風に合わせていろんな自分を掘り下げなければなりません。あんな自分、こんな自分……
 この作者の方は実に多彩なジャンルを書きこなします。時には自分と全く違う人物も書きこなせなければならないでしょう。そんな時も本当(だと思ってる)自分を好きでなければ書けません。ひょっとしたらまだ知らない本当の自分を探すために書いてるのかもしれません。
 このお話は母親の無償の愛、そして子供目線からの他に向けたそねみ、自分の価値──を表したほのぼのとした童話のようですが、何かしら作品を作る方であれば『自分が生み出すものたち』へのそんな慈しみすら感じるのです。
 あなたは自分が作り出すものたちをきちんと愛せてますか?

もし、自分がもう一人。いや、もう二人、いたら……。

自分のコピーが、いたら、そいつに、嫌なこと全部を押し付けてしまいたい。
そんな妄想は誰にでもあると思います。
そして、そこから、どうなるかを描いた物語もたくさんあります。
これは、そんなお話。そして童話です。

子供に読み聞かせたくなる童話です。
子供に知ってほしい物語には、何があるか。人の心があります。自分が沢山いたとき、自分の心がどうなるか。
はじめは嬉しいかもしれませんが、心に変化が出てきます。

その変化がどんなもので、どういう結末を迎えるのか。
それをぜひ、その目で見届けてください。
優しくなれます。考えさせられます。
そして、最後に、このお話を読み聞かせたくなります。
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