イチオシレビュー一覧

私たちが生きるこの世界において、タブーとされることはたくさんあります。
それを禁忌足らしめているのは、刑罰による抑止力であったり、道徳教育で培われた倫理観だったり、言うなれば"昔の偉い人が決めた事"に沿ったものであって、もしそれが環境の変化などによる合理的判断によって変えられていったら"常識"はどうなってしまうのか？

そういうひとつのIFを生理的嫌悪感を伴う方法で読者に見せてくれるSF短編小説です。
文章や作品全体の雰囲気はただの日常を描いたものでしかないのに、読む人間にじわじわと謎の不安感のような恐怖のようなものが染み込んでくる不思議なお話。

ほのぼのしたタイトルに反して、ガツンとパンチの効いたハードなSF作品なので、上質なストレスがいい具合に味わえます。

スッキリとした読後感の小説に飽きてきたなら、スパイスとして読んでみたらどうでしょうか？