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ずっと見ていたい、老人と妖精、二人の毎日

妖精と心を通わせる人間のお話……

……ですが、人間の方は純粋無垢な少年でも、夢見る少女でもなく、人と付き合うのを嫌う、リタイアした老紳士。
妖精のヒメとは言葉も通じません。

ヒメとの毎日は、穏やかでありながら、セイにとって(そして読者にとっても)好奇心をくすぐられ、ワクワクするものです。

文体は観察日記のようでもあり、未知の生物の生態を追っていくという点では、ファーブル昆虫記のようでもあります。
心を通わせる対象を少しずつ理解していくという点では、育児日記のようでもあります。
冒険や恋愛のドキドキはないけれどーーそう、センスオブワンダーがあります。

妖精ってどんな服を着ていて、どうやって作っているの?
妖精が人間と暮らすにはどうしたらいいの?

なるほど、そうなのか……次は何を読ませてくれるんだろう。
この二人の毎日をずっと見ていたい、そう思わせる作品です。
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