イチオシレビュー一覧

物語の舞台は魔物がいて魔術がある中世的な世界、女神や魔王や勇者もいるらしい。
主人公は地方代官の長男アインに転生し、前世の知識を生かして化学合成で現代チート物質を作り上げ、次々と難題を解決する。文章は読みやすく描写も的確、設定も分りやすい、とは言え上質のなろうテンプレ小説ではない。

この世界で魔力を感知できる人は少ないが、アインは自らオドと名付けた体内魔力の循環と、空中や大地の魔力、『地脈』に働きかける技を身につけた。意志や願いを持つかのような魔力は、実はこの世界を形作る根幹であり、その魔力を形にする技が魔術だった。アインは運命に導かれるかのように関わり合う人々を、助け導き労苦と喜びを分かち合い、ともに成長していく。
そして二人の少年とその友たちは、それぞれの長い旅路の果てに、いつか世界を救うかもしれない。

魔術はあるがレベルもスキルも無い世界。
そこには友への祈りの魔力に満ちている。

異世界転生モノ。
赤ん坊の頃に知識を取り戻した彼は、幼少期から魔術の特訓をすることに。
優しい両親の元で、双子の弟や幼馴染の少女と共に研鑽を積み、王都の学院に通うまでになって。

その過程で縁を繋ぎ、前世の知識と魔術を上手く組み合わせて、少しずつ確実に前に進んでいく話です。
代官の家に生まれたとは言え平民で。出来る事と出来ない事の線引きは明白ですが。それでも、出来る事を増やそうと足掻く彼の姿は見ものです。
初期は、魔力を増やしたり仲間を増やしたりする種まきの時期で、成長するにつれ面白さが増していく作品です。

暖かい家族や頼もしい家臣の元に産まれた主人公。

兄弟、友人と強い絆を結びながら成長しつつ、前世の知識（化学）を活かしながら、苦悩の中にいる人達を助けて行きます。

そういった人達との関わりの中で世界が広がっていき、主人公達は夢に向かって羽ばたいていきます。

これらの心温まるエピソードは本当に必見です。私は何度も目頭が熱くなりました。


また、壮大な世界観や魔法のしっかりした設定はもちろん、先の読めないハラハラする展開もあって本当に読みごたえ抜群です！

web版を読まれた方は是非書籍版も読んで頂きたい。
書き下ろし部分も加わり、更に素晴らしい展開になっております。

読み終わった後に、心が暖かくなっている感じを多くの人に体感して欲しいです。