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映画一本、文庫一冊分の重厚感。

  • 投稿者: 孫 遼   [2018年 06月 26日 01時 51分]
山奥の古城という閉鎖空間に集められた七名の招待客。七つの大罪が彫られた弾丸。そして不穏な事件の始まりを告げる殺害予告――

ミステリ読みをこれでもかと惹きつける魅力的な舞台から始まるこの物語は、時折差し込まれる戦前の国際情勢の解説と相まって、映画を一本見るかのような読みごたえがあります。

誰が誰を陥れようとしているのか……? 次の犠牲者は誰か……?

主人公の任務は要人の警護という真相解明とは別のところにあり、彼の視点からは誰もが疑わしき人物に思えてきます。

次々に起こる事件に翻弄されるうちに、被害者たちを繋ぐ見えない糸とトリック、犯人の動機が明らかになりますが、それだけで終わらないのがこのミステリのすごいところ。

主人公が見据える時代の行く末と、事件の真相とは――ぜひ驚愕のラストをお楽しみください。
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