イチオシレビュー一覧

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変わるものと、変わらないもの。

全体的に描写が丁寧で、とても綺麗です。電車の座席だったり、目の前を過ぎていくバイクだったり、寝る前のCDだったり。そのどれもが綺麗に書かれていて、イメージがすぐに出来てしまいます。

途中囲碁の描写がありますが、囲碁を知らなくても問題ありません。それくらい、心理描写や情景が丁寧です。

哀愁や、どこか懐かしさ、淋しさを感じた後、最後にほっこりするような、そんなお話です!

自分も自分に嘘をつく。自分でも分からない自分がいる。

  • 投稿者: 精神感応4   [2022年 08月 21日 11時 09分]
 この作品の主人公は淡々と変わらない日々を送ることを望んでいる。それはもう執着に近いものだったのかもしれません。そして、その変わらない日々の中には彼女が根付いていた。最後まで読むと胸を撫で下ろしてしまう引き込まれる物語でした。その後を想像しようとして、やはりやめておこうと思わせる終わらせ方が実にお上手です。

 現実に存在し、我々の知っている事柄の散りばめ方がなかなか秀逸だと感じました。男女の心の揺れ動かない部分に生きる希望を見いだせる方もいるはず。一読の価値ありです!
  

囲碁がつないでくれた絆

  • 投稿者: ZinFuzisima   [2020年 03月 08日 15時 04分]
個人的なことなのですが昔、囲碁をやっていた時期がありました。今ではすっかりルールも忘れてしまっています。

その囲碁が2人をつないでくれた。

石畳で囲碁を語り合う場面がすごく印象的で、個人的には凄く好きです。

読みやすく完結に終わっているので、すぐに読み終わることができ、それでいて暖かくなれる小説でした。

失って初めて気づき、取り戻そうと努力する。

それでも失うときもある。彼は失うことがなくて本当によかった。

変えたくないものと変わっていくもの

主人公は、新しいことを恐れながら、心のどこかで変わることに対する好奇心を持ち合わせています。そして、二年前に彼女と別れてから、ふわふわとした生活を続けています。

この作品の見どころは、淡々とした日常生活と、その中で生きていく主人公の心理描写です。

そして極め付けは、著者の表現したいことが詰まっているオチに、スマートに話が流れていくところです。

一度は離れた二人が、復縁を通して、お互いへの変わらない愛を確かめ合うという人の繋がりを感じられる作品になってます。そして、何か変わらないものがあるから人は変わっていけるのだと思わせてくれます。

しっかりとした文章をお好みの方におすすめです。
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