イチオシレビュー一覧

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ダンジョンものと侮るなかれ

  • 投稿者: 春瀬由衣   [2018年 09月 11日 04時 55分]
特段取り柄のない主人公に、美少女の助っ人。そして見上げれば白亜の塔に、迫りくる影。

そして主人公は、天使を名乗る存在から一見理解しがたいことを告げられる。

――この世界は、辺獄であり、主人公の心象世界である、と。

階をあがるにつれ、敵である〝影〟の強さは増し、時折主人公のトラウマを刺激する。

少女は華奢な身体の割に強く、敵を薙ぎ払っていく――

「また助けられたな」

そう感謝し、連帯感を持った彼女は、非情にも主人公に最後の試練を与える――。

永遠に来ない〝何時か〟に自分を閉じ込める、という表現が、自分の過去と照らし合わせてもしっくりきました。

理想の自分になれなくて、悔し涙を流す全ての人に読んでほしい傑作です。

生死の狭間で懸命に自分と戦う主人公

  • 投稿者: 夏松秋蝉   [2018年 06月 21日 21時 18分]
 必要最低限の登場キャラクター、文体、そして心象世界という題材。様々な要素が他のライトノベルとは一味違うと囁きます。
 心理描写に特に重きを置いた文芸というのは私の読了時の所感でありますが、さらにその心理描写を戦闘描写と掛け合わせながら行う技術には驚かさせられるばかりです。
 勿論読者には読了時に新鮮な風が吹きかけられるでしょうが、私としては作家にこそ読んで欲しい作品です。昨今のなろう系小説とは一線を画すこの作品を読めば、きっと貴方も新たな作品へ執筆の腕が伸びるハズ。
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