イチオシレビュー一覧

　この作品は、魔本の悪魔Dちゃんと、千年を生きる魔術師の麗筆（れいひつ）というふたりの冒険譚です。

　ふたりは決して正義の味方ではありません。
　とはいえ、悪逆の限りを尽くすことに楽しみを見出しているというわけでもなく。彼らには彼らなりの考えがあるのですが、それがちょっと作品の世界の一般人の倫理観や常識とはズレたところがあります。
　そんなふたりの冒険なのに、どこかコミカルで可愛らしい。

　これまでずっと本の姿だったDちゃんは、はじめて肉体を持ちます。
　人ってお腹が減るんだとか、ものを食べると味がするんだとか、人にとっては当たり前のことも、Dちゃんにとってははじめて感じることばかり。

　こうして旅に出たふたりは、徐々に一国をゆるがす大きな事件に巻き込まれていきます。

　ワクワクドキドキの冒険、ぜひ実際にお読みになって確かめていただきたいです！

　生きるのに疲れた魔術師とお転婆魔本（名前：D）(♀)の入れ替わり旅物語。独自の価値観で生き、それでいてどこか似た者同士の彼らの掛け合いは面白く、自然次話ボタンをポチポチ押してしまいました。「お転婆魔本」というアイデアもいい。日本には古来より「長く使われた物には魂が宿る」という考え、所謂「付喪神信仰」がありますが。ならば長きに亘り読まれ続け、あまつさえ言霊と魔力の宿る異世界の魔道本にも魂が宿っていいのでは。そう思ったことのある人も多数いらっしゃるかもしれません。
　投稿者はそう。
　だから、魔法の本が喋ったり笑ったりしているのを見ると、なんだか嬉しくなりますね。魔本Dちゃんがどうして生命体としてあるのか、まだ詳細はまったく明らかになっていませんが。
　投稿者の気持ちに賛同される奇特な方は勿論、面白いユニークな作品はないかと探されておられる方は、ぜひ一度目を通してみてはいかがでしょうか。