イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く地獄の島の闘技場では、女奴隷の剣闘士が肌も露に戦い続ける。集まる客を喜ばせるために、命も流れる血も苦痛の叫び声も死に様すらも見世物として。流れ着いて行き着いた女剣闘奴隷の生き様を、ヘルガは静かにその瞳に映す。生き場を無くした女達の迎える死を見つめ続けて。包帯に包まれた異相の領主『悪魔公』は笑う。『いいぞお! 愛しのヘルガよ!』女剣闘奴隷ヘルガは、何を考えているのか解らぬ女。何を感じているのか解らぬ女。幼い頃に処刑場に捨てられ、檻の中で育ち、残忍と卑劣と苦鳴と死の側に立つ、死神の落とし子ヘルガ。されど生き場を見失った剣闘奴隷は、そのヘルガを、ときに求め、ときに狂わされる。死神ヘルガは、何の為に闘技場に立つのか? それとも欲も願いも見失ったただの狂人なのか? ならば何故、いくつもの死をその胸に抱くのか? 今日もまた見世物として戦う女が、一人死ぬ。血と鋼の底だからこそ、その生き様は鮮烈に――
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