イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く綿密に構築された世界観と起伏のあるストーリーで冒頭から引き込まれる長編である。
高い知力を持つ一方子供らしい精神に引っ張られる不安定な主人公スジラドをめぐる世界はまさに和洋折衷、とはいえ分かりづらくならないよう主人公が子供として転生した設定を活用し丁寧かつ平易な文体で描写される。また多様な登場人物が織りなす複雑なドラマは、読み手を飽きさせないバランス感覚に優れた構成になっている。
序盤のひとつのエポックとなるネル救出のくだりに代表されるよう、主人公は基本的にアゲアゲで成長の過程とその結実も必然性を持って書かれている。現時点で200話を超える長編ではあるが尻込みせずに読み進めて欲しい。
『小説家になろう』という今やひとつのジャンルとなったメディアを分析し尽くしたうえでそのスタンダードに依らない新しいものを書こうとしている野心的な、なろうならではのフェアリーテール(おとぎ話)である。
高い知力を持つ一方子供らしい精神に引っ張られる不安定な主人公スジラドをめぐる世界はまさに和洋折衷、とはいえ分かりづらくならないよう主人公が子供として転生した設定を活用し丁寧かつ平易な文体で描写される。また多様な登場人物が織りなす複雑なドラマは、読み手を飽きさせないバランス感覚に優れた構成になっている。
序盤のひとつのエポックとなるネル救出のくだりに代表されるよう、主人公は基本的にアゲアゲで成長の過程とその結実も必然性を持って書かれている。現時点で200話を超える長編ではあるが尻込みせずに読み進めて欲しい。
『小説家になろう』という今やひとつのジャンルとなったメディアを分析し尽くしたうえでそのスタンダードに依らない新しいものを書こうとしている野心的な、なろうならではのフェアリーテール(おとぎ話)である。
尖った作品だ。
まず書式からして独特である。
●から始まるタイトルで切り取られたエピソード。
オープニングに布石のように打たれたシーン。
作中解説が入るが、改まったシーンでの文語表現多用。
ルビを打たれた普通使われない漢字の訓読みに後の伏線があったりもする。そして普通のなろう小説のように容易に主人公が無双せず、描写には結構毒も含まれる。
しかしワールドは極めてオリジナリティーが高く、他の作品を凌駕している。西洋ファンタジーをベースに和のテイストが散りばめられ、呪文などは中国の古典などからの引用のようである。
主人公スジラドを通して垣間見る世界は、奇妙な説得力を持ったリアリティーがあり、確かにこの世界は存在すると思えて来る。独特の書式で描かれる物語だが、慣れればかなり癖になるだろう。自分もこの世界を歩いてみたくなるものです。
まず書式からして独特である。
●から始まるタイトルで切り取られたエピソード。
オープニングに布石のように打たれたシーン。
作中解説が入るが、改まったシーンでの文語表現多用。
ルビを打たれた普通使われない漢字の訓読みに後の伏線があったりもする。そして普通のなろう小説のように容易に主人公が無双せず、描写には結構毒も含まれる。
しかしワールドは極めてオリジナリティーが高く、他の作品を凌駕している。西洋ファンタジーをベースに和のテイストが散りばめられ、呪文などは中国の古典などからの引用のようである。
主人公スジラドを通して垣間見る世界は、奇妙な説得力を持ったリアリティーがあり、確かにこの世界は存在すると思えて来る。独特の書式で描かれる物語だが、慣れればかなり癖になるだろう。自分もこの世界を歩いてみたくなるものです。
【〝丹念〟――その言葉がまさにふさわしい】被差別階級〝モノビト〟として生を得た少年は困難を乗り越えて長き人生の道程を歩んでいく【ジャンルのカテゴライズ不要なほどに〝緻密〟な物語譚】
★ダークファンタジーコミックに【ベルセルク】と言うのがある。大変長い長編であり、ハードな戦闘描写が目を引く傑作である
★一般に戦闘と鬼気迫るハードな物語が注目されがちだが、この作品にはもう一つの側面がある。それは――『主人公である〝黒騎士ガッツ〟の生まれてから今日に至るまでの人生のすべてが描かれている』と言う点である
★読者は主人公の生い立ちの全てを目の当たりにする。そしてその後のドラマでの主人公の行動の理由と必然性を思い知らされることになるのである
★勘のいい読者ならお分かりだろう。そう――本作『天廻の媛』は、主人公『スジラド』のそうした歩みを追うことを物語の要諦の一つとしているのだ
★無論、それだけではない。身分社会、階級社会、人間の評価がことごとく家名と血筋で権威づけられ、権威あるものに評価されねば地道な努力すら意味をなさない過酷な中世的世界を克明に描いている
★必読すべき傑作である
★一般に戦闘と鬼気迫るハードな物語が注目されがちだが、この作品にはもう一つの側面がある。それは――『主人公である〝黒騎士ガッツ〟の生まれてから今日に至るまでの人生のすべてが描かれている』と言う点である
★読者は主人公の生い立ちの全てを目の当たりにする。そしてその後のドラマでの主人公の行動の理由と必然性を思い知らされることになるのである
★勘のいい読者ならお分かりだろう。そう――本作『天廻の媛』は、主人公『スジラド』のそうした歩みを追うことを物語の要諦の一つとしているのだ
★無論、それだけではない。身分社会、階級社会、人間の評価がことごとく家名と血筋で権威づけられ、権威あるものに評価されねば地道な努力すら意味をなさない過酷な中世的世界を克明に描いている
★必読すべき傑作である
和風?本格ハイ・ファンタジー。科学技術も不思議な発展のし方をしていて物凄く独特かつ重厚な世界観。貴族周りの設定の作り込みが凄い。和洋入り混じっていて、完全に西洋人なキャラが武士を名乗ってそれが決まってるシーンなんかは、古い翻訳の西洋歴史小説を連想してしまう。西洋的かつ和風かつオリエンタルな気風があって、初めて読むタイプの小説。
まず、作者の知識量と語彙力が桁違い。おーるじゃんるおーるまいと。武侠小説や軍記物みたいな言葉遣いで古語混じりに韻を踏んでさらさらと流れる会話は溜息を吐いてしまうレベル。というか、その作者さんのドン引きクラスのIQによって描かれる、半沢直樹と渡り合えそうなレベルの達観と思考と会話ができる5歳7歳12歳の子どもたちが怖すぎる。何を見てるんだ俺は……
まず、作者の知識量と語彙力が桁違い。おーるじゃんるおーるまいと。武侠小説や軍記物みたいな言葉遣いで古語混じりに韻を踏んでさらさらと流れる会話は溜息を吐いてしまうレベル。というか、その作者さんのドン引きクラスのIQによって描かれる、半沢直樹と渡り合えそうなレベルの達観と思考と会話ができる5歳7歳12歳の子どもたちが怖すぎる。何を見てるんだ俺は……
書き出しに運命を暗示するような表現ありますが、一切の転生事情もチート能力も記載されていない一風変わった作品です。
一番の特徴は、小山ゆう先生の作品のように幼年時代を等身大で描いていること。
スジラド君が「がんばれ元気」の主人公の様な明るさで自分の運命を切り開いて行く姿がとても健気です。未来を暗示する冒頭を読む限り、彼もいつか「お~い龍馬」の龍馬のように広い世界に羽ばたいて行くのでしょうか?
当初は説明が多すぎる気がしますが、私は第一部の終わりまで一気に読むことをお勧めします。
多くの作品が、サムライをネタとしてデフォルメしたを表現している中で本作は武士という貴族の義務や役割をきちんと取り扱っているのは好感が持てました。
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