イチオシレビュー一覧

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我語りき。我、騙りきか。

 国破れて山河あり。城春にして草木深し。

 実際には、国が破れれば、そこには民と言い分が残ったのだった。

 とある国が悪政の為に、王が討伐さるる。

 ある農夫が、宦官が、美姫が、そして平らげた北の領主は語る。

 それぞれが、それぞれの想い、立場で語る中で、一体何が真実で、誰にとって何が正義だったのか。
 普遍的な悪は、正義はなんなのか。そんな事を考えさせてくれる作品です。

 きっと誰もが正しくて、きっと誰もが正しくなくて……。人の世は、かように御しがたく不確かなのやもしれぬ。

それぞれの立場によって違う思い

  • 投稿者: 真澄   [2018年 06月 18日 15時 35分]
 放伐とは、悪政をしていた暴君を都から追放することだそうです。ですが立場が違えば、考え方はそれぞれ。討伐軍に参加した農民には農民の思いがあります。立場を変えれば暴君に仕えていた役人には役人の思いが、側に侍っていた寵姫には寵姫の思いがあります。
 この物語では、討伐される側も討伐するもわざとぼかされています。このことで、繰り返される歴史が連想される作品になっています。
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