イチオシレビュー一覧

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どこか懐かしさも覚えてしまう青春短編の傑作。そしてこの書き方が出来る作家が、果たして何人いるだろうか。

廃部寸前の文芸部に所属する"先輩"と"後輩"。
先輩は感受性豊かで口数も多いが、対する後輩は口数も少なくさらには感情が分からないと自ら言い出す始末。そんな2人によって紡がれる、どこか懐かしさも覚えるような青春の物語がここにある。

さらに驚くべきはこの作品の1話の始まりと結びの文、それが何と予め決められているということだ。作者の意図ではなく、診断メーカーという不確かなものに。
書き出しと書き終わりが決められた状態で物語を書き進めるというのは極めて難しいと言わざるを得ない。が、木染維月先生はそれを難なくクリアしてしまうほどの文章構成力を有している。

表現が綺麗でありながらも少々面倒くさく回りくどくも感じる先輩と、減らず口を叩き少し捻くれてもいるような後輩の「文芸部」を地で行くキャラ像も必見だ。

先輩と後輩、それと夏。一度読めば、抜け出せない。そんな魔性の小説。

文章が、綺麗だ。
とりあえず、言えることはそれ。
一ページ目で惚れて、二ページ目で惹き込まれる。
そうなってしまえば、あとは続きを読む手を止められない。

夏の中に生きる先輩と後輩。
部室という狭い空間の中で気さくに交わされる会話。
節々に描写される夏の終わり。

そのどれもが、読む人に染み渡る。
ずっと文を読んでいたい衝動に駆られる。
一話(たまに二話の時もあるが)完結の話が新しく紡がれるごとに、しっかりと時が進む。

続きが読みたい、だけど終わってほしくない。
そこに得も言われぬ感情を感じる。

甘酸っぱい青春物語だ。

物書きの先輩と物を書かない後輩の物語

  • 投稿者: 退会済み   [2018年 11月 02日 14時 01分]
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綺麗な言い回しで語られる、文学部の先輩と後輩の物語。

一話ないし二話での完結型になっているためさらっと読めて、けれども読んだあとにじんわりと温かい気持ちになれる、そんな作品です。

個人的には、ちょっと生意気な後輩くんのキャラが好きです。
今後も是非続きを更新し続けてほしいと思います。

先輩と後輩の絶妙な距離感がたまらない、甘々すぎない、甘酸っぱい恋のお話。そういうのが好きな方には是非オススメです。
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