イチオシレビュー一覧

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非常に芸術的な傑作。

若い人が持ちうる矛盾や乾きが美しく綴られた作品。
思いもよらない方へ導かれる物語の語り口は、色彩豊かで綺麗で、どこか残酷。
終始回想で語られる物語。記憶とは曖昧で、自分と他人の境界も、現実も非現実の境界も曖昧で、さまざまな比喩でぼかされる世界は、次第に夢をみているような気分になってくる。

愛でも、情でもなく、胸が熱くなるわけでも、切なくなるわけでもない、読了後に残る正体不明の余韻。
これこそが新しい文学の形なのかもしれない。
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