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【物語の魅力】全文は感想欄に

この物語には、ところどころにメッセージが盛り込まれている。それは、対人だったり、生きることそのものであったり。はじめは人と上手くやろう、心配や迷惑をかけないよにと思っていた主人公。死の危険が訪れることによって、死神の力を奪ってしまう。その力で生き延びたものの、簡単に受け入れることが出来なかった。罪の意識で潰れそうになるも、事実は変えられない。やっと生きることを受け入れることは出来たけれど、力までは受け入れられなかった。そんな彼女に、ある出会いが訪れる。この出会いがターニングポイントだったのではないだろうか。この事件で初めて主人公は、自分の意志で力を使うのだ。しかし、新たな恐怖が彼女を襲う。この物語はヒューマンドラマであり、人の心理そのものがモチーフなのではないだろうか。その為、焦る気持ちや恐怖心、不安などが丁寧に描かれていると感じた。

なろうの中では、まだ掘り起こされてない怪しく煌めかせる異質の原石である

異世界もので溢れているなろうでは、比較的に珍しい物語で本来はもっと評価されるべき最良作であったと感じた。

ダークにはダークであるが、どちらかと言うとダークファンタジーよりもサスペンス寄りの物語で読者を不思議と惹き込ませるものがあり、正に最高の作品であった。

未玖の望まぬその力はもはや特殊な魔術や呪術、超能力といったようなものというよりも殺戮兵器そのものであり、その凶器の力を抱えて震えながら過ごす未玖の日常は追い詰められるかのように、更なる困難が訪れようとする。

いずれにせよ、悔しいがもっと世に広めるべき物語であり、もっと世に多くの人が目をつけるべき秀逸な作品であった。

皆が幸せになる日を信じて、彼女は今日も『Wink』をする

  • 投稿者: 退会済み   [2019年 08月 25日 14時 07分]
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物語は心中しようとしてきた元カレを、【未玖】が意図せず殺してしまった場面からスタートします。
その殺害手段はWink。
死神の【ミタさん】から『魂を天界に転送する力』を奪ってしまった【未玖】の人生記です。

【ミタさん】と【未玖】の奇妙な関係性が良く、日常(リアリティ)と非日常(ファンタジー)が上手く調和されています。

心情描写が秀でており、その心の機微は本作の大きな魅力の1つです。
簡単に殺してしまう力を手にした【未玖】が葛藤しながら、彼女の思う最善を選択して、Winkしていきます。
考えさせられるような場面が多く、読み応えあります。

その一方で、不可解な死を遂げていく『事件』として刑事が動き出しており、顛末/結末がどうなるのか気にならせます。
Web小説ではあまり見られない葛藤が強く生きる作品です。必見と言えます。

殺すか、殺さないか――その選択肢を迫られた少女は苦悩しながら、ウィンクで人を殺す。

一週間前に別れた元カレに襲われた少女。元カレがナイフを振り上げ、少女は恐怖で目を閉じた。が、痛みは感じない。目を開けると――絶命した元カレの姿があった。突然の事で怖くなった少女は自宅まで逃げてきた。翌朝目覚めてみると死神がいる事に気づき、その死神から驚くべき事実を聞かされる。
「君が、俺の力を奪ったんだよ」
その力は右目を瞑ることで、魂を死後の世界に転送する【wink killer】というもの。少女は力を返したかったが、死神は無理だと答える。力を使わない、少女は強い意志を持つ。
しかし――友人に凶器を持った男が襲い掛かった時、冷たい声が殺人へと誘う。
『あの男、殺しちゃえば?』

テンポのいい展開、読みやすい文体であっという間に読み進めてしまう。またこの作品の良いところは殺人への罪悪感、葛藤の心理描写がしっかりと語られているところだ。大きな事件をきっかけに動き出すサスペンス展開は必見!

不必要な力を得た少女の苦悩と享受

望まずして手に入れてしまった強力な力に翻弄される少女。
その力は余りに強大で、意図しない結果を必ずもたらす。
使った対象に死という結果で。
その能力を望んでいない主人公は苦悩する。
その罪悪が自らを苦しめる。

主人公は強力な力を得ます。だが望んでいない。
今時の俺TSUEEE!!ではなく、得た強大な力に苦悩し、その強大さと責任に負けそうになるが乗り越えようとする。
そして、乗り越えた時は確実に強くなる。
そこに魅力を感じる作品です。
葛藤を抱えている人、10代の悩みを持つ方は十二分に楽しめる内容だと思います。
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