イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く過去を飲み込み、未来を感じさせる白、そこに、生と死の両極彩る紅が混じる
- 投稿者: 退会済み [2018年 12月 03日 07時 17分]
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兄が年若く、この世を去った。
主人公は、乗り越えることができたが、母親はおかしくなった。
そんな過去を持つ主人公が、時間の止まった兄を夢に見たことで、空虚な想いが蘇る。
その夢の世界は、ヒガンバナが咲き誇る森の中へと続いていく。亡くなった兄に手を引かれて……。そこは鮮やかすぎるほどの紅(あか)。
やがて、目の前に大きな卵が現れる。年嵩が逆転し始めた兄が、その中へと溶け込んでいく。安らかで、鼓動を刻むその卵は、幸せを感じさせてくれる白(しろ)。
紅と白。作中に表現されたコントラストは、実に綺麗だ。
やがて目覚め、その時隣に立つは、かつては兄の代わりだったのだろう。
その卵は教えてくれたのかもしれない。深い愛情と新たな息吹、そしてやすらげる未来が近いことを……。
主人公が、過去の呪縛から解き放たれる時が訪れたのだと思いたい。
主人公は、乗り越えることができたが、母親はおかしくなった。
そんな過去を持つ主人公が、時間の止まった兄を夢に見たことで、空虚な想いが蘇る。
その夢の世界は、ヒガンバナが咲き誇る森の中へと続いていく。亡くなった兄に手を引かれて……。そこは鮮やかすぎるほどの紅(あか)。
やがて、目の前に大きな卵が現れる。年嵩が逆転し始めた兄が、その中へと溶け込んでいく。安らかで、鼓動を刻むその卵は、幸せを感じさせてくれる白(しろ)。
紅と白。作中に表現されたコントラストは、実に綺麗だ。
やがて目覚め、その時隣に立つは、かつては兄の代わりだったのだろう。
その卵は教えてくれたのかもしれない。深い愛情と新たな息吹、そしてやすらげる未来が近いことを……。
主人公が、過去の呪縛から解き放たれる時が訪れたのだと思いたい。
花は咲きやがて実を結ぶ。新しい命は大地に芽吹き、また新しい花が咲く。
- 投稿者: 石河 翠@「運命の番を嫌う訳あり娘は拒めない」配信中 [2018年 11月 03日 14時 00分 (改)]
親というものは性別の異なる子どもの方が可愛く思えるものらしい。異論はあるだろうが、それが世間一般におけるイメージである。厳格な父親が娘にはベタ甘だったりするように、情熱的な母親は息子を溺愛する。
そこには、母親の恐れもあるように思う。自身が女から母になりやがて朽ちていく一方で、娘は女になり鮮やかに咲き誇る。それを嫌うのは生き物としての本能なのかもしれない。
本作の主人公には若くして亡くなった兄がいる。彼女は兄と自分への愛情に偏りを感じながらも慎ましく暮らしていたのだが、兄の死をきっかけに母親との関係が大きく歪み始め……。
彼岸花の咲き誇る夢の世界はあの世とこの世の狭間か、あるいは彼女の深層心理か。真実は誰にもわからない。花の紅さと無垢な白さが眼に染みる。
彼岸花の花言葉は、「情熱」「独立」「あきらめ」「悲しい思い出」「転生」「また会う日を楽しみに」等だ。時は巡り縁は繋がれてゆく。
そこには、母親の恐れもあるように思う。自身が女から母になりやがて朽ちていく一方で、娘は女になり鮮やかに咲き誇る。それを嫌うのは生き物としての本能なのかもしれない。
本作の主人公には若くして亡くなった兄がいる。彼女は兄と自分への愛情に偏りを感じながらも慎ましく暮らしていたのだが、兄の死をきっかけに母親との関係が大きく歪み始め……。
彼岸花の咲き誇る夢の世界はあの世とこの世の狭間か、あるいは彼女の深層心理か。真実は誰にもわからない。花の紅さと無垢な白さが眼に染みる。
彼岸花の花言葉は、「情熱」「独立」「あきらめ」「悲しい思い出」「転生」「また会う日を楽しみに」等だ。時は巡り縁は繋がれてゆく。
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