イチオシレビュー一覧

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ネットで読む説法

  • 投稿者: 七瀬   [2018年 12月 15日 09時 03分]
二人のイケメン僧侶が、修行の旅に出るついでに世直し行脚をするお話です。読んでいてとても気持ちよく、それでいて色々と考えさせられる、所謂ネットで読める説法のような小説です。

荒れ放題の高校を立て直すべく孤軍奮闘していた先生の元に、件の二人の僧侶が現れます。
悪ガキというには行き過ぎた悪行を繰り返す生徒たち。現状を悪い物と分かりつつも変化を嫌い石のように固まり、気配を消して暮らす教師たち。改革を望みつつも、力が伴わず苦悩する教師。
それぞれに悩みがあり、キャラクターたちの内面が描かれていくにつれて、物語に引き込まれていきます。

シリーズ二作目となりますが、時間軸はこちらの方が先であることと、前回は舞台が農家であったのに対し今回は高校で、こちらの方が入って行きやすいのでは無いかと思います。

1話1話が短いので、一気読みがおススメです。
そして未読の方、朗報です。
この連載は完結しています。

またまたやってくれました。

  • 投稿者: さい   [2018年 12月 07日 14時 56分]
スーパー坊主ユニット、テツandお市の第二弾。
修行の旅の途中またもやトラブルに巻き込まれる。

敵は不良高校生?
まずはとにかく読め。

キャラクターが多い?
学園物のお約束、とにかく読め。
頭の中を入り乱れるキャラクター達が血肉をまとって駆け回る。
途中で絶対お気に入りが出てくる。

話は単純かと思いきや、裏で巧妙な罠が仕掛けられている。
読み始めたらもう足元は絡めとられている。
とにかく先へ先へと読み進まずにはいられなくなる。

読み口はライト。決して斜に構えることはない。
痛快娯楽活劇が好き。
人情物に弱い。
そんなとっかかりでウェルカム。

読み進めれば作者の知識量や情報収集能力にまず気付く。
練り上げられたアイデアが襲いかかる。
途中何度も作者に横っ面を張られる。
まだ隠し球持ってるのか、この作者。
あの手この手で揺さぶりをかける。
笑顔で人を殴れるタイプだ、この作者。

小説にカタルシスを求める人々へ

  • 投稿者: べりんだ   [2018年 11月 21日 06時 37分]
日々のオアシスとなる娯楽小説を探す方々よ、私の朋友たちよ!
皆さんにこの作品をお薦めする。
スーパー坊主デュオ:テツとお市の痛快な“渡世”の物語を。

前作共々、主人公2人が“世”を“渡”る様は、荒野を行くカウボーイか、はたまた無頼の素浪人か。ハチャメチャなくせになぜか好感が持てる、天然読者タラシどもだ。

行く手に待ち受ける困難は、妙なリアリティを持って21世紀の殺伐をまとっていて、不穏で怖くてドキドキさせられるが、魔法の剣も超能力も持たない主人公たちは、仏様のご加護と、僧衣の下に秘めた正義感と、ハラペコ窮鼠の若いエネルギーで敵を粉砕してしまう。
その様が、“いよっ、待ってました”なカタルシスなのだ。

独立してこれだけ読むもよし、前作から読むのもよし。

ユーモアとケレン味と現実感のバランスが絶妙。
その辺は、ずいぶん吟味して書いているのだろう。
小説の神もまたディテールに宿るんだな。
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