イチオシレビュー一覧

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実在するであろう世界の話

社会は、その社会の情勢や政治の状況、国民の価値観など様々な事が関与し成り立っている。

この作品の世界も恐らく実在する世界なのだろう。
いや、実在していないとおかしい。

ユーガリア戦記には過去があり、過去から現在に至るまでの人々の考え方が語られ、それを踏まえた国や地域の成り立ちがある。

これ程に練り込まれた作品が作者1人の発想から紡ぎ出された物だというのが未だに信じられない。
心理描写が上手いなどそのような俗っぽい言い方はこの際止めておこう。

そこに人が生き、暮らしているのだ。
作中には皆、完全な人間などおらず、それぞれが悩み、苦しみそして喜び助け合っている。

三人称視点をメインとして書かれていることや各々の登場人物の心情が書かれていることから、主人公が絶対勝つという確証が持てず、ハラハラしながら読み進めてしまう。
当然であろう。この作品は恐らく別世界軸で実在する世界なのだから。

スラムの少女は、救国の女帝として立ち上がる

 退廃と腐敗に満ちた魔都クシャイズ。
 魔族が人間族に敗れたその日から、人間族の支配が続き、魔族は肩身の狭い生活を強いられていた。
 スラムの片隅、親に捨てられた孤児たちは人間たちに冷遇され、スラムの中で盗みなどで生計を立てるのみ。
 その中の一人の少女、エリザは一つの出会いがきっかけで、かつての魔族の支配者、黒女帝ティヌアリアの力を継承する。そして、彼女はかつての仲間たちと魔族たちを迎合し、国の復興を志す。
 これは、誰もが泣かない、死なない平和な世界を志す。
 一人の少女の、救国の物語。

 三人称視点による、疾走感あふれる文章で書かれる戦闘シーンは白熱。その合間に、戦う者たちが見せる信念は、炎のように熱く、戦場に木霊する。
 それぞれ抱いた想い。それが書き起こされ、交錯し合う。
 各々の信念がままに、彼らは少女を支え行く。
 圧倒的スケールの、ファンタジー戦記だ。

少女の誓いは燎原の火の如く

  • 投稿者: 退会済み   [2019年 04月 15日 07時 10分 ()]
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圧政。
四十年前の戦勝者たちによるそれは、虐げられる者たちに積年の恨みを抱かせている。
魔都の片隅で、些細なきっかけから起こった小さな爆発。
しかしそれは燎原の火の如く、瞬く間に大陸を席巻する。
かつて黒女帝と畏れられたものの力を継いだ少女エリザは、誰も傷つかない世界を作るという理想を抱き、彼女を主と崇める臣下を率いて体制へ叛旗を翻す。
やがて戦火は帝国の治める地方から中央へ向かって広がり始める。
大陸全土を動乱の渦中に投げ込む、長い戦いが幕を開けた。

圧倒的な文章力と緻密に作り込まれた世界設定。
さらに一癖ある登場人物たちが彩りを添え、戦記の名に恥じぬ臨場感溢れる戦場の描写は圧巻の一言。
志と誇りがぶつかり合い、陰謀と権謀術数がひしめき合い、それでも希望を信じて前進する彼らの生き様に刮目せよ。
血湧き肉踊り、時の経つのも忘れるほど読みふけることができる逸品である。

屍を積み重ね、平和へ手を伸ばす

取り敢えず、1章まで読んでほしい。
これからこの作品を読もうと思った人にはそれをまず伝えたい。
そこまで読んだなら、貴方はきっとこの物語の虜だ。
ファンタジーでありながら、この物語の登場人物達の感情はとてもリアリティに溢れる。
例えるなら、まるで息遣いだ。
荒い息遣い、落ち着いた吐息、絶望の嘆息、断末魔の叫び。
それらが、押し殺した感情が、爆ぜる激情が物語を鮮やかに染めていく。
その色は、絶望の黒か、鮮血の赤か、希望の白か。
数多の屍を積み重ね、平和を夢見た少女が、世界をどんな色で染めるのか。
……是非結末を見届けたいと思う。

圧倒的に作り込まれた世界観

  • 投稿者: ペグ   [2019年 03月 17日 17時 14分]
この作品は異世界が題材になっていますが……本当に現実しているようなリアリティがあります。

それに主人公の優しい少女から一変する……本当は詳しく書きたいのですがネタバレになると嫌なので詳しくは書きませんが自分の目で確かめて見てください。

それに本編の少女の目線だけではなく、サイドストーリーのように別の人物の視点も丁寧に書かれている作品だと思います。

この作品は……本当に読まなきゃ損だと感じた作品です!

まさしく読むドラマ!

  • 投稿者: 右助   [2019年 03月 06日 22時 17分]
骨太な物語。それを読みたい人はこの「ユーガリア戦記」がピッタリだと思います。

悲劇的な始まり。そして一念発起からの「歴史への挑戦」。さくも先生の様々な知識と経験が嫌みにならない程度に散りばめられている卓越したストーリー構成と文章能力。
他の方々のレビューにもちらほら出ていた、「ちょっと重めのファンタジー」という看板に決して負けない。むしろ乗り越えて見せるぞ、という力強い思いを感じました。

タイトルにも書きましたが、これは「読むドラマ」です。皆さまもハラハラドキドキしながら次の更新、そのまた次の更新を待ちましょう!

優しい少女の願いが大陸を炎で染めていく。

  • 投稿者: おんた   [2019年 02月 27日 22時 39分]
オリジナル戦記。
この固定タグが似合う作品って、一体、幾つあるんでしょうか。
ここにあります。これが戦記です。ユーガリアという大陸を舞台に、人と魔族、魔族と魔族、反乱軍と国軍が真っ向からぶつかり合う。
まさに戦記です。

けれど文章は重いと言うわけでなく、すらすら読めます。
心優しい少女を中心に話が進むからでしょうか。
素直で純粋な少女の願いに、思わず味方になりたくなります。
とにかくエリザ可愛いよ、エリザ。

チートやスキルに頼らない戦いを読みたい方。
男の生き様を見たい方。
往年のファンタジーが好きな方にオススメです。読み応えあります。

紙の本として読みたくなる重厚さ

  • 投稿者: お出汁   [2019年 02月 26日 20時 11分 ()]
家を焼かれたスラムの少女エリザ。彼女はふとした事で、かつて大陸を支配した「黒女帝」の圧倒的な力を受け継ぐことになる。

誰も傷つかない世界を願う少女は、皮肉にも争いの無い世界のための戦争へと身を投じていく。

そんな始まりから広がっていくこの物語は、まず圧倒的な重厚感が素晴らしく、世界観、キャラクターの心情、そして戦闘シーンの緻密な描写を前に、まるで自分もこの世界にいるのではないかという錯覚を覚えてしまいます。

かく言う自分もまだ途中までしか読めてはいませんが、一度読み始めるとしばらく時間を忘れて読み進めてしまう魔力がこの物語には秘められています。

そして、贅沢を言うのであれば、Web小説としてではなく、ハードカバーの分厚い紙の本として読み、本棚に並べ、背表紙を眺めたかった。それほどに濃密な文章です。

宜しければそこの貴方も、この物語の世界に降り立ってみてはいかがでしょうか?

壮大な楽劇がここに!

  • 投稿者: 詩音   [2019年 02月 26日 19時 32分]
素晴らしい芸術作品というものは、ほんの一瞬触れただけでその深みにはまってしまうものです。
本作がまさにそれ!

悲しみから始まる物語ですが、言葉ひとつひとつが宝石のようで美しいです。
ジョルジュ・サンドの恋人ショパンの曲の様な響きさえ感じます。

そして壮大な世界観、魅力的なキャラクターの動きはワーグナーの楽劇を観賞している時と同じ感覚に陥ってしまいます。
個人的に脳内フルオケで作曲してしまうほどですよ!
寧ろ作らせていただきたいくらいです!(笑)

これを読まずして何を読む!?
読まないと人生大損ですよ!

この世で最も優しい背徳

 反抗だ、闘争だ!

 抗争だ、反逆だ!

 戦争だ、背徳だ!

 この物語をもしもそう説明したなら、復讐に燃える主人公が敵を皆殺しにする話のように思えるでしょう。

 しかし、実際にはそう単純なものではありません。

 反抗と闘争と抗争と反逆と戦争と背徳を目的としながら、それでいてとても心優しい少女が主人公です。

 細かな設定によって織り成される重厚な世界の中で、彼女たちはどのような物語を紡ぐのでしょうか? その答えは、作者様の圧巻の描写力によって導かれます。

 このレビューを見て少しでも興味を持っていただけたなら、一章だけでも読んでみてください。
 ほんの序章程度のお話ですが、その時点からもう本作の魅力を垣間見る事ができます。
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