イチオシレビュー一覧

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先鋭的な感性が演じる、不穏で爽やかな"何か"の序章

「ジャムってしまった人生は」
私が本作に惹かれたのは、上記のサブタイトルを偶然見かけたことです。

すっげーオシャレだしカッコイイ!!
(他タイトルも洒落てる!)

そんな一目惚れの興奮を、全11話最後まで失うことなく駆け抜けました。


お味は「ロックでドライで、エモい」
まるで、いつもの曇り空にふとノスタルジーを覚えて胸がぎゅっとなる感じ。アレです。
あと会社は一話目から爆発します。(ヤッター!)

そして、本作のもう一つの特徴は筆者の"演技力"。
当初は「自分のことだけで精一杯で世界が灰色に見える青年」そのものですが、ある出会いから徐々に世界に対して鮮やかさを取り戻していく様が窺える、そんな文章です。


環境の変化を、「会社爆破」というある意味理想の形で遂げた主人公。
その発端、その経緯、その行く先がスタイリッシュに描かれた、ロックなあなたにおすすめの一品です。

会社爆破しました

  • 投稿者: 夜明   [2019年 01月 05日 06時 25分]
誰しも一度は職場や学校が爆発してくれないかなぁ、と願ったことがあるのではないでしょうか。
この小説では冒頭から会社が爆発してます。スカッとしますね。

主人公である苗代沢はブラック会社に勤める会社員。彼の心理描写や言動の一つ一つが面白く共感します。
丁寧な描写が物語の情景をありありと想像させてくれます。
とにかく描写が上手く、またちょっと面白おかしく書かれているため、早く一行先を読みたくなる。

特に惹かれたのは会話の上手さです。独り言、会話、それらがとても自然に耳に入ってきます。
自然な会話というのは案外難しいものだと思います。
肩肘張らない言葉選びと文章量が、とても滑らかに言葉を描いています。

煙草の煙がふわりと香ってきそうな、リアルを感じる小説です。
苗代沢がどのようにして会社を爆発させるまでに至るのか、そしてミソノさんは一体何者なのか。
物語と共に追っていきたくなります。
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