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泣き虫な魔女はこれからどう成長していくのか

主人公は泣き虫な魔女コスモス。
泣き虫で臆病者の彼女が出会ったのは粗野で乱暴な少年。そしてその周りには今まで接してこなかったタイプの子ども達ばかり。
人と深く関わることを避けてきたコスモスが、人と関わらざるを得ない状況でどう成長していくのか。

童話のような、詩のような優しい語り口の小説なので温かい気持ちで読めます。主人公が泣き虫ということで、こちらもどこか保護者のような気持ちにさせられます。

泣き虫な魔女を見守る臨場感が最高!

  • 投稿者: 一響 之   [2019年 10月 26日 18時 53分]
主人公のコスモスは大した力もない泣き虫な女の子。
彼女は臆病で心根が優しく、それでも幼い正義感と勇気を胸に秘めた可愛らしい小さな魔女です。
しかし魔女は生活に浸透した一大宗教から問答無用の縛り首と断じられた大罪の象徴。捕まった魔女の処刑が見世物として成立するくらい庶民から嫌悪と恐怖を向けられています。
この「善良な庶民が処刑を楽しめる」という感覚が人間心理のリアリティと現代人が持つ感覚との乖離を生み出して、凄味と深みを生み出しています。

価値観や心理の作り込みがしっかりとなされていて、この弱々しい少女を前に出会った人がどういう態度を取るのか全く予想ができません。
「普通ならこうなるよな」という考えと「こうなってほしい」という願いが混在してハラハラしながら、コスモスの行く末をずっと見守っていたくなります。
気分は死んだお父さん。
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