イチオシレビュー一覧
▽レビューを書く 読んでみてこの物語の何が良かったを考えると自分には「美しさ」が最大限に引き出されていた事だと思いました。
文章中に使われる人物、目の前の風景描写、心情・心理描写などの直喩法と暗喩法の使い分けは、一小説投稿者として嫉妬すら湧かず尊敬の念すら覚えました。
1万文字前後で物語を簡潔に書いていますが、決して世界が薄っぺらではなく、むしろその少なさがより「美」を引き立て濃厚にした印象で2〜3万文字読んだ時の充足感を感じられました。
落ちも最後まで予想出来ない展開でとても楽しめた作品でした。
文章中に使われる人物、目の前の風景描写、心情・心理描写などの直喩法と暗喩法の使い分けは、一小説投稿者として嫉妬すら湧かず尊敬の念すら覚えました。
1万文字前後で物語を簡潔に書いていますが、決して世界が薄っぺらではなく、むしろその少なさがより「美」を引き立て濃厚にした印象で2〜3万文字読んだ時の充足感を感じられました。
落ちも最後まで予想出来ない展開でとても楽しめた作品でした。
この作品の作品を読んで感じた魅力あるテーマは
『完成した作品として生きる少女』
『壊すことで完成する自身の作品』
という要素で、
作品の作り手の感情に焦点を当てた物語となっています。
共通の思想を持つ仲間が作った作品を見る機会を得た主人公は、厳重に管理された建物の中で、ひとつの作品、『イヴ』という少女を目にします。
心を奪われ、自分では無い他者の作った作品に対して感じた『完成しきった美しすぎる作品』という評価。
これまで地震の最高傑作と思っていた存在すら否定しうる存在と、その持ち主に、主人公の心はひとつの感情に押しつぶされ...。
という1万文字の濃密なストーリーが描かれるこちらの作品。
私は作品を読んだ上で、5段階評価では表現できないほどのゾッとする余韻を感じました。
20分ほどの空き時間があれば楽しむことのできる作品です。
本心からオススメできる素敵な作品でした。
『完成した作品として生きる少女』
『壊すことで完成する自身の作品』
という要素で、
作品の作り手の感情に焦点を当てた物語となっています。
共通の思想を持つ仲間が作った作品を見る機会を得た主人公は、厳重に管理された建物の中で、ひとつの作品、『イヴ』という少女を目にします。
心を奪われ、自分では無い他者の作った作品に対して感じた『完成しきった美しすぎる作品』という評価。
これまで地震の最高傑作と思っていた存在すら否定しうる存在と、その持ち主に、主人公の心はひとつの感情に押しつぶされ...。
という1万文字の濃密なストーリーが描かれるこちらの作品。
私は作品を読んだ上で、5段階評価では表現できないほどのゾッとする余韻を感じました。
20分ほどの空き時間があれば楽しむことのできる作品です。
本心からオススメできる素敵な作品でした。
美しさとは『罪』なのだ
- 投稿者: 実緒屋おみ@忌み子の姫は〜発売中 [2020年 05月 24日 08時 52分]
一人称で紡がれる私と老人、そして『イブ』の物語。
短いながらにして人を惹きつけるこの作品は、純文学のそれにも似ている。
どこかマルキ・ド・サドの悪徳の栄えを彷彿させるような、それでいて谷崎潤一郎の人魚の嘆きをも思わせるような。
これらは読み手の感性によって違うものだとは思うが、少なくとも読んだ私はそれら二つを思い出せた。
音楽のことに詳しい人ならば、サリエリの蛇というタイトルも読み終わった後に理解できるだろう。
いや、この作品に理解などはいらないのかもしれない。
ラストの展開、そこで粟立つ感覚をぜひ味わって欲しい。
短いながらにして人を惹きつけるこの作品は、純文学のそれにも似ている。
どこかマルキ・ド・サドの悪徳の栄えを彷彿させるような、それでいて谷崎潤一郎の人魚の嘆きをも思わせるような。
これらは読み手の感性によって違うものだとは思うが、少なくとも読んだ私はそれら二つを思い出せた。
音楽のことに詳しい人ならば、サリエリの蛇というタイトルも読み終わった後に理解できるだろう。
いや、この作品に理解などはいらないのかもしれない。
ラストの展開、そこで粟立つ感覚をぜひ味わって欲しい。
世界有数の大富豪にして【倶楽部】と呼ばれる組織の重鎮である大富豪の老人。
そして本編主人公の、「私」。
この二人の登場人物によって紡ぎだされる緊張感あふれるサイコサスペンスです。
わかりやすく平易な言葉を使っているのに、その幻想的な空気感まで感じさせる筆致にぐんぐん引き込まれていきます。
そしてそのラストは……。
人間誰にもある、ある強い感情。
読者はその存在に、否応なく向き合う事になります。
短編小説ながら、そのずっしりとした読後感は圧巻です。
その鳥肌が立つような、ジリジリするような、心の泡立つような感覚は、本当におすすめです。
そして本編主人公の、「私」。
この二人の登場人物によって紡ぎだされる緊張感あふれるサイコサスペンスです。
わかりやすく平易な言葉を使っているのに、その幻想的な空気感まで感じさせる筆致にぐんぐん引き込まれていきます。
そしてそのラストは……。
人間誰にもある、ある強い感情。
読者はその存在に、否応なく向き合う事になります。
短編小説ながら、そのずっしりとした読後感は圧巻です。
その鳥肌が立つような、ジリジリするような、心の泡立つような感覚は、本当におすすめです。
まず物語を綴る言葉選びが良い。どこかジトっとしたものを感じる文章は読むだけで作品の世界にあっさり落とし込まれる。
二人の対比も素敵。
「モーツァルトとサリエリ」「アダムとイヴ」
作品を深める効果的な対比は人物像をガッチリと読み手に掴ませてくる。
そして、ラストにきちんと腑に落ちる展開を持ってくる。これが秀逸。
短編のため読了に時間はかからないけれど、読み終わったあとに少し尾を引く感じ。この余韻までが作品だと思う。
舌に味が残るものを食べた時みたいに、今日はもう他の作品には触れられないなって思った。
二人の対比も素敵。
「モーツァルトとサリエリ」「アダムとイヴ」
作品を深める効果的な対比は人物像をガッチリと読み手に掴ませてくる。
そして、ラストにきちんと腑に落ちる展開を持ってくる。これが秀逸。
短編のため読了に時間はかからないけれど、読み終わったあとに少し尾を引く感じ。この余韻までが作品だと思う。
舌に味が残るものを食べた時みたいに、今日はもう他の作品には触れられないなって思った。
イチオシレビューを書く場合はログインしてください。