イチオシレビュー一覧

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この作品は太平洋戦争への暗喩でしょう

何故この話をメタファーとして捉えるのかといえば、まさに舞台になっているのが太平洋戦争における最大の消耗戦となったソロモンであり、その端緒たるガダルカナルに基地が設けられていること、さらに負け続ける各国軍からアメリカが排除されている設定は、そのまま沈みゆく船は国籍を問わず敗戦した日本海軍を模していると見れば、すごくすんなり展開が悲劇的である理由に行き着けます。
その一方で、民間女性パイロットたちへの強いリスペクトも感じられ、反戦争の立場にありながら世界を守るという大義の前に軍と言う枠組みは邪魔だと言う示唆もあるのではと勘繰れます、
いずれにしろ上質なSF戦記であり、純粋な侵略戦争シミュレーション小説として一読の価値があり、今後の展開が楽しみな作品です。

SF作品でありながら上質の仮想戦記

パラレルワールドなのでしょうこの世界は1938年の歴史をほぼトレースしていながら、ドイツ第三帝国は存在せずワイマール共和国がまだ存続している。その若い大統領がドイツを掌握し工業と科学で世界の最先端を進んでいながらも、軍備は飾り程度にしか持っていない。この設定がまず大きな布石になってる。
日本は事実上の道化かと思われたが、後半に登場する民間人や陸軍軍人たちの様子から見ると、この先大きなキーファクターになるのは間違いない。
登場する兵器のマニアックさもさることながら、物語の中核をなす女性飛行士たちが皆実在人物というのも驚愕である。
この先の展開も楽しみだが、現時点までで十二分に上質の戦記読み物になっている。
だが、日本海軍ファンにはお馴染みの艦がどんどん沈んでいく悲しさも味あうかもしれないこと付け加えておく。
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