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【レビュアー泣かせの怪作現る】――読み始めて3/4を過ぎた時、あなたは作者が仕掛けたレトリックの罠に気づくだろうか?――

  • 投稿者: 美風慶伍   [2019年 07月 23日 14時 10分]
■読み終えてからじわじわと迫ってくる作品だった。
■読み終えたときは、おそらく読者は一体何が起きているのか掴みきれないだろう。

■主人公である彼が紙面の中で放った言葉のひとつひとつが絶妙な意味合いを持っている。そしてそれが物語全ての構成がはっきりと見えてきた時に、この物語の〝恐ろしさ〟の本質がいったい何なのか? ということを読者に対して突きつけてくる

■この作品に対してはネタバレは絶対に避ければならない。

『そういうことなのか!』

――と気づいた瞬間こそがこの作品の真価の発揮される時なのだから。

【鏡の中で見えるものは、真実か虚像か……。世にも奇妙な物語の幕開けだ】

「ゴリラがどうして絶滅の淵に追いやられたか、知ってる?」
 という始まり方をする本作。その始まり方からは想像もつかない結末を迎えます。
 ジャンルはホラーとなっていますが、恋愛やヒューマンドラマの要素も強く、ホラーが苦手な方でも楽しめます。

 読み手としても本当に楽しめる作品なのですが、書き手として読んでもとても勉強になります。
 冒頭でしっかり掴み、中盤で物語に引き込む。そしてラストで読者にアッと言わせる。
 また、登場人物の名前の表記なども作品の雰囲気作りに一役かっています。

 最後に簡単なあらすじを。
 主人公の菊池は自宅の鏡を殴った拍子に、鏡の世界に吸い込まれてしまう。
 そこで眼に映る光景は、元の世界とはほんの少しだけ何かが違う。
 そしてその世界では……

 世にも奇妙な物語があなたを不思議な世界に誘ってくれる。あなたはラストの続きにどんなストーリーを想像しますか?
 
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