イチオシレビュー一覧

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この物語を読んでみませんか? そして 夜空を見上げてみませんか?

  • 投稿者: 水渕成分   [2020年 09月 26日 22時 17分]
家紋武範様の「看板短編企画」参加作品です。

わずか630字の純文学。しかし、中身は非常に濃く、それでいて、読みやすいです。

主人公は一本の太い大樹です。長い長い年月、その地に根を張りめぐらせた大樹です。

物語はその大樹のモノローグで展開します。

少しずつ大きくなっていく大樹には様々な動物たちが集まり、暮らしを営んでいきます。

そして、やがて現れたのは、二本足の動物。

その者たちの思いは筋となって天に昇って行く。

大樹はそれを見て、「美しい」と思うのです。

あなたもこの物語を読んでみませんか?
そして、夜空を見上げてみませんか?

気高く滾るその命、不動なり。

人は何十年という時を生きる。それは途方もないように思えるかもしれないが、大樹が息吹いてきた時間に比べればちっぽけなもの。
幾千という命の行く末を見届けてきたその大樹は、正しく生命の象徴にして、気高く滾る不動なる命。
大きな木を見つけたら、是非その手で触れてみるといい。目を閉じて、耳を澄ませてみるのも良い。
もしかしたら、あなたは命の神秘を感じ取れるかもしれない。

星空に照らされるもの達

  • 投稿者: 退会済み   [2019年 12月 11日 13時 44分]
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この作品は大樹の物語である。
植物は動くことができない。しかし、その反面として動物たちよりも遙かに長寿である。屋久島の縄文杉などはその名の通り、縄文時代から現代まで生きていると言われている。
この作品の大樹も同様であり、人類が繁栄する前から生きているようである。
時が過ぎ、この大樹はご神木と呼ばれる存在になったことようだ。そして、このご神木の前で祭りが定期的に行われるようになる。それは決まって星々が輝く夜に行われた。
それをこの大樹は見守っていた。そしてとあることに気づく。
時のスケールの大きさに圧倒されてしまう作品である。
たまには星空を見上げるもの悪くないに違いあるまい。

悠久の時を巡る、「大樹」の物語。


 樹齢1000年を越える屋久杉のように、「大樹」と呼ばれるほどの成長を遂げた樹は、永遠の如き時を生きている。大自然の一部として、雄々しく大地に立つその幹は万物の拠り所となり、葉と枝は緑豊かな景色に彩りを添える。
 ただそこに在るだけ。だからこそ、絶えず移ろう世界の流れを、不変の存在として彼の者は見つめている。動物達の生と死も、人の営みも。全ての歴史を、その大樹は見守っている。

 この世で最も長く生きる生命として、私達をただ静かに見据えてきた「大樹」の視点で描かれる、摩訶不思議な世界観の物語です。繊細かつ端的な描写の数々を、ぜひご覧ください。

時の流れが、丁寧に、繊細に、綴られています。素晴らしいです。

  • 投稿者: 四季   [2019年 07月 27日 15時 54分]
大樹の視点で描かれている、とても美しい物語です。

色鮮やかな鳥や甘い樹液を求める虫、そして動物。
樹は、多くの生命の憩いの場となっていました。
そして時は流れ、二本足の動物が現れるようにもなりました。

時の流れが、丁寧に、繊細に、綴られています。
とても雄大な印象を与えてくれます。

多くの方に読んでいただきたいな、と、心から思う一作です。

ぜひ、読んでみて下さいませ。
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