イチオシレビュー一覧

この作品は１話ごとのオムニバス作品集です。

読み手の想像力をかきたてるその作風は、とにかくヤバイです。
何がヤバイって？
想像の中で作られていくその世界がヤバイんです。

作品名は『そこに、何があるのかはわかりませんよ』です。

あくまでもそこに描かれているのが何であるか、それは私たちの想像の産物であると作者様は言っているのです。

さぁ！あなたも想像力を働かせて読んでみてください！

一体そこに何があるのか？

ゾッとするような、うわっと驚くような、とんでもない世界が広がっていますから。

魔女、妖精、ドラゴン、幽霊、モンスター……
子供の世界は不思議なもので溢れています。
子供はそこで、当然のように遊んでいます。
不思議なものがイキイキとリアルに、その場にあるように。
それは、子供ならではの特権かもしれません。

羨ましい、と思う時があります。
大人ならでは知っている世界は、楽しく美しいものばかりではありませんから。

悲しみ、怒り、嫉妬。おぞましい人間の本性。

知りたくなくても知ってしまうことは、いくつもあります。

そんなことがらが、一話ずつそれぞれに、無邪気なおままごとや楽しい童話に隠して提供されているのが本作品。

読後感は必ずしも良いとは言えないかもしれませんが、読まずにはいられない。そんな力がある、不思議な作品です。

そして読みきった時には、作者からのこんなメッセージを感じるのではないでしょうか。

「それでも世界は、美しい」と。