イチオシレビュー一覧

　横溝正史と松岡圭祐が時空を超えてタッグを組んだなら、この作品に近づくものが生み出せるのでしょうか？
　知性派と肉体派のコンビが様々な事件を解決する。…と聞くと、どこかに転がっていそうな気がしてくるのでありますが、それが正真正銘の女子高生であり、2人とも超とんがった個性の持ち主であり、更に巻き起こる事件が、血も凍るような本格ホラーなのです。

　ちなみに血も凍るような本格ホラーなのに、完璧な文章力とこの2人のお陰で心置きなく笑いながら読めます。

　File17なんか映画になってもおかしくないと思う程お気に入りですが、最初から順番に読まれることをお勧めします。

もしあなたがこの小説を読み始めるのであれば、ジュース類やお酒、ポテチや酒のつまみなどを用意して
時間の余裕があるときに読み始めることをおすすめします。
読み始めたら最後、あなたの時間は盗まれます。なろうの七不思議かもしれません。
心地よい至福の時間が流れ、飲み物やお菓子がなくなった頃、あなたはこの小説で一日が潰れてしまった事に気づくでしょう。
何が言いたいかというとつまり、とてもとても面白い小説だということです。ただし少し変なホラー小説ですけど。

話の内容は、オカルト研究会を立ちあげた頭がおかしい女子高生二人組がホラースポット廻りをする話です。
出てくる怪異がヤバすぎて普通の人間だと発狂して死んだりするんですが
こいつらは知識と暴力と行動力だけでなんとかするので死にません。ざっくりいうとそんな内容の話です。

ゆるふわに怖い「ゆるコワ！」な話は最初のFile1/File2までです。File3からはガチで死亡事件の起きる心霊スポットになります。スポットの描写は叙述トリックなどミステリ要素も取り入れながらホラーです。
そんな心霊スポットを女子高生二人組が観光気分で巡り歩きます。作者あらすじに「霊能力はゼロ。しかし、この二人、恐怖判定に絶対失敗しない」とありますが、霊が出ても、惨殺死体を見ても、バッチリと呪われても、まったく取り乱さず冷静に対処。彼女達が凸した途端、導入部で盛り上げたホラー感が霧散します。二人の目的は『心霊現象を堪能すること』であり、謎の解明や除霊など心霊現象の解決には拘りません。本当に危険なラインは超えず、あっさりと撤退するところを作中では『たちが悪い』と表現しています。
お薦めは【File4】発狂の家、【File9】旧猿川村トンネル。評者のお気に入りは【File8】異次元屋敷です。

タイトルの通り、ゆるいホラー…と思えば実際はそれだけでは無いのが最高です。
書いて字のごとく、怖いもの知らずのJK2人が心霊スポットに凸してホラークラッシュするのがあらすじ。
頭脳派の循と、拳(物理)の梨沙というコンビの掛け合いが絶妙で、青春コメディとしても勿論楽しめます。
しかし、めでたしめでたしで終わった後、「いやいや、この心霊スポット、かなりエグいぞ」と、ふと気がつく。
つまり、目を滑らせるように読めば、やっぱ人間より強い幽霊なんて居ないんだなと軽く笑えるコメディとして。
2度目に読めば、コンビがどれだけヤバい敵と向かい合っていたのかにふっと気付かされる二重構造。
こんなに怖い話を、思わず吹き出してしまうくらい楽しく読めてしまうだなんて、もう洗脳としか思えない（笑）

それだけではなく、随所に散りばめられたトリックや、民俗学、地理学的な知識のような仕掛けも盛り沢山。

超面白いです

得意技は肉体言語な闘う美少女 桜井梨沙(さくらいりさ) と理詰めで謎を解き時にはハッタリも駆使する外見詐欺師 茅野循(かやのじゅん) 　放課後ダベる場所と心霊スポット巡りつつ美味しいゴハンを食べる活動資金を得るために始めたオカルト部に持ち込まれる事案は時に命懸けだったり洒落にならない展開が待ち受けてますが 色々リミッターが外れてる彼女達は何時だって平常運転

とある事件を切っ掛けに厄介な高校生達に容赦無く巻き込まれる事になった詰めの甘いポンコツ女霊能者 九尾天全(きゅうびてんぜん)に穏やかで胃が痛くならない平和な日々は果たして帰って来るのか?　まあ多分無理だと思います(苦笑)

重ねて警告しときますが受験勉強の息抜きにとか美少女によるバディ物が楽しみたいと軽い考えで手を出したら火傷しますので御注意を　割と死体も出て来ます。

プロの方が趣味で書かれたといわれても納得のハイクオリティです。
卓越した文章力もさることながら、随所に見られる教養が作品に深みを与えています。
伝統的なホームズとワトソンスタイルで、起承転結がはっきりしていて、キャラも立っています。レギュラーメンバーに嫌いな人がいないのも、個人的には好感度が高いです。恋愛要素があまりないのも珍しく、私はそこが一番好きですね。この二人に見合う男性はそうはいないと思いますし。
ツメの甘い霊能者もいい味出してて好きです。

エピソードごとに趣向が凝らされていて、叙述トリック風の話とかシャイニング的な描写が出てくる話もステキでした。
エピソードが完結するまで毎日更新してくださるので、キリのいいところまで待って、一気にオチまで読むようにしているのですが、サブタイトルだけでワクワクして、ジリジリしながら待っています。
ホラー耐性があるなら、読まないともったいないです。