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タグにまつわるエトセトラ

  • 投稿者: 暮伊豆   [2020年 01月 05日 20時 29分]
読者にとってタグとは重要なものである。
王道異世界冒険譚だと思い読んでいたら主人公の少年が受け専ボーイだと知った時の絶望。
悪役令嬢勧善懲悪物語だと思って読んでいたらいつの間にか百合百合ユリシーズになっていた時の慟哭。

その逆だってある。
BLタグが付いているのに最終的には女性とくっ付いたり。
ガールズラブのタグが付いているのに主人公の令嬢が男性とゴールインしたり。

作者としては、嫌なら読むな。と言いたいだろう。
しかし読者としては、今まで読んできた時間の取り返しはつかない。

このようによくある『なろうタグ問題』に切り込んだのが本作である。

読者には読者の。作者には作者の言い分があるものだ。
さあ本作を読んで、なろうライフをより実りあるものにしようではありませんか!

なろうで小説を書く、あなたに読んでほしい

タイトルからして読者を選ぶように思えますが、なろうを用いる上で誰しも一度は考えるかもしれない問題をいくつか取り扱っていて、とても身近な物語としてさらりと読めます。

そして、物語の下敷きとしてある、主人公とその後輩の関係性や創作に対する姿勢が、描きすぎないタッチで綴られているのがさわやかです。

BLというには淡いお話で、実際にもこういうどっちつかずで悩む気持ちというのは、もしかしたら誰もが経験するものかもしれません。
余韻を残したラストも綺麗です。

なろう作家としてのあり方を今一度考え直すにも、この作品は良作と思います。
といいつつもそこまで深刻なものではなく、問題提起もお話の流れに沿った穏やかなものです。

実はこの作者様へのレビューは二作目ですが、作品ごとにカラーが違いながらも芯のあるお話を書かれる方です。
もしこの作品をお気に召されたら、作者様自身のお気に入り登録をお勧めします。
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