イチオシレビュー一覧

誰よりも愛されなくて、けれど誰よりも愛されたかった少年は、黒神によって滅びかけの異世界に渡ることになる。
少年は少女になっており、体には呪いのような刻印が刻まれていた。紡げず、解せず、己の感情からくる鎖は、自らを雁字搦めにする。しかし、数多の出会いが傷を癒す。
血肉を贄としてあらゆる傷を癒す聖女は、異世界で欲しかった家族を手に入れた。
最初に助けた王子は、神々の使徒と知っても1人の少女として接し、尊重した。
王子の妹たる王女は、例え言葉が伝わらずとも妹と呼んで傍にいた。
お母さんと呼んだ森人の女性は、たった数日の短い間に心を癒し、愛を教えた。
今際の際、少女は異世界で受け取ったあらゆる愛を知った。
どんなに酷いことがあっても慈愛を忘れなかった少女は、聖女の力を覚醒させて世界を救った。
これは黒神の聖女の物語。異世界で紡がれる、家族愛の物語。

主人公のカズキは、地球にいたときもこの世界に転じた後も、痛くてつらい目にあわされてひどい人間不信に陥ってしまいます。
しかし主人公を受け入れてくれた王族の人たち、森人の人たちとの交流を経て少しづつ心を癒していきます。
そして物語のクライマックス、王国が危機に陥るとき、主人公の心からのこの世界の人々を救いたいという思いが、聖女の癒しの力を解放し世界が救われる様は、涙なしには見られません。
その後の後日談も素敵です。
世界の人々が本当に感謝していて、主人公のことを心から愛していることが伝わってきて、自分の事のように嬉しくなってしまいました。
皆様もこの素晴らしい物語、読んでみませんか？

謎の人物に加護と呪いを与えられた、天涯孤独の青年の悲劇から始まります。
青年は意思疎通も出来ない少女へと変えられ、強制的な宿命を背負わされました。

送り出された異世界は少女に対してとても厳しいです。
背負わされた加護と呪い。その呪いの部分が余りに強烈でした。
そこまでやるかよ！ というレベルで少女を蝕んでいます。

更に貴重な加護を持った彼女を、利用する人間達も当然出てきます。
酷い目に合わされ、呪いに苦しみ、時には人間不信に陥ったりしていきます。

それでも孤独な青年だった少女は慈愛の心を捨てず、人を救っていくんです。


残酷で悲しい世界の中、人の優しさや家族愛を焦点にした……そんな物語です。