イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

「好き」な気持ちを知っている、全ての方へ

  • 投稿者: 花水木   [2019年 11月 29日 05時 21分 ()]
 バイクが好き。「相棒」を駆って風を切れば、まるでヒーローになった気分。エンジンの調べが全身に伝わり、血が沸き立つ。
 煙草が好き。だんだんと長くなってゆく灰に、ドライアイスを彷彿とさせる白い煙。喫煙室での、ちょっとした会話。
 対象は人それぞれにせよ、「好き」という気持ち自体は、およそ誰もが共感できるものだろう。あるいはその気持ちを諦め、手放す寂しさも。

 そんな「好き」の煌めきが、これでもかと言うほど詰め込まれたのがこの作品だ。それ故、読む者の心を捉えて離さない。好きだからこその高揚と興奮、そして哀愁までが随所にじっくりと書き込まれていながら、圧巻の躍動感と疾走感が決して読む手を止めさせない。

 一つ一つ、光景をイメージしながら味わって欲しい。ハーレーダビッドソンの唸り声はあなたの心を震わせて、心地よい残響と共に何かを遺してゆくことだろう。

作者の「愛」が一言一句に溢れ出す

  • 投稿者: ゲロ豚   [2019年 09月 08日 08時 14分]
世に「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるが、まさに。
作者はきっと、この作品に出てくるすべてのものが好きなのだろう。愛しくて愛しくて、たまらないのであろう。

いや、知らない。
私は作者の趣味嗜好を知らないが、好きじゃなければこんな作品は到底書けなかろう、ということを確信させられる。

30代半ばの、ダンディな雰囲気を携えつつも童心を残す男。
見た目は若くとも実はそれなりに年増なバイク乗りの女。
咥えるタバコ、ハーレー、サービスエリア。

それらすべてが、愛おしくて愛おしくてたまらないのだろう。
であればこそ、これほどに愛の詰まった作品が出来上がる。バイクなど触れたこともない私にもとても分かりやすく、そして読んでいるだけで頬が緩んでしまうような、そんな軽やかで素敵な文章を書くことができるのだろう。

サービスエリアと、喫煙所。
綱渡りのような人と人の出逢いは、あなたの心になにを残すか?

女性に対して、お嬢さんなんて呼び方をしたことがありますか? 僕はしたことがないですね。

  • 投稿者: 雷然   [2019年 09月 07日 03時 04分]
主人公はかっこつけのオジサンです。

ハーレーダビッドソンに跨り、タバコをふかし、ニヒルなことを言います。

不真面目なオジサンです。だからハーレーがよく似合います。

本作は短編ではありますが、その中に凝縮された魅力が、沢山あります。

主人公、台詞、構成、タバコ、ヒロイン、文章、etc
全てを説明するには400文字では足りませんし、私の稚拙な説明より是非本編を読んでほしいです。

ですので、ここではバイクの魅力を少々。

知らない方は驚くかもしれませんが、バイクは生き物です。跨ってエンジンをかければ解ります。
解らないバイクは偽者です。“本物”は違います。
ハーレーダビッドソンには本物しかありません。

その本物を、本作は体感させてくれます。本物とは何かを教えてくれます。
それだけでも本作を読む価値はあるのではないでしょうか。
↑ページトップへ