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人外転生者の良さが出ていて素晴らしい

  • 投稿者: KK   [2021年 05月 29日 02時 43分]
人外転生モノを読んだ時私は人化する瞬間読むのをやめます。
というのも別にそれなら最初から人間でいいからです。
言葉を発することができず、人間から差別される。
そういう人外転生の良さを生かして書き上げられた作品です。
言葉が通じないその中でも絆と親子のような愛を描かれており、皆さんの胸にグッとくる作品です。
少なくとも、私が今まで見てきた人外転生の小説では群を抜いて1番面白いです。


不撓不屈の精神で生きることを諦めなかった男が、最後に得た『愛』の物語。

 感情の起伏に乏しく、体は不安定で、動きは鈍重。
 自ら狩りをできる強さはない。

 だが、死への恐怖から『生きたい』という激情を持った魔物は、地道に少しずつ力をつけていく。
 そうして人間すらも相手にできるようになったころ、一人の少女に出逢った。

 人間に奴隷として扱われる『清廊族』の少女。
 魔物を『母さん』と呼び慕い、魔物もまた少女へと愛情をそそいでいく。

 これは種族の垣根を超えた、愛情の物語。


 終始一貫して『ゲル状生物』のまま、人の姿にはなりませんし、発声もしません。

 弱肉強食の世界観も、その場にいるようなジメッとした空気感も、もちろん登場人物も、みんな魅力的でした
 ゲル状の特性を活かして苦境に負けず、試行錯誤して生きる姿には応援する気持ちが強くなります。
 魔物が少しずつ少女に愛情を覚えて、甲斐甲斐しく世話をする姿は愛おしくて和みました。

 ※続編もあります。

ありがとうございました。こういうモンスター転生物が読みたかったんですよ

  • 投稿者: SH   [2019年 11月 24日 22時 29分]
 骨太なモンスター転生物です。
 安易に人化することなく、万能すぎてもう人間じゃなくてもべつにいいのでは? と思うようなチートもありません。
 主人公は言葉を発することも出来ず、意志表示すら困難なゲル状生物。うぞうぞと這い進むしか移動手段もなく、進路上の有機物を根こそぎ捕食する危険極まりない魔物です。
 人との交流など絶望的な状況で、しかし主人公は一人の少女と心を通わせます。
 流麗な文体で綴られたこの物語には、読み手の情動を呼び起こす熱量が存在します。
 決して相容れない種族の壁に阻まれた両者の想いはとても切なく、悲しいです。
 もし人の感情を揺り動かす創作物を芸術と定義するのであれば、この作品は間違いなく、それそのものではないでしょうか。

 量産されたテンプレ物には食傷気味だ、という方は是非ご一読を。
 この小説は確実に面白いです
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