イチオシレビュー一覧

それが本作のメインテーマなのか、プロットの段階から決まっていたテーマなのか、浮き出てきたテーマなのか、まだ物語りの途中の今、私には解らない。

私に解るのは、大人になるのは簡単ではないし、楽でもないという事だ。

私はもういい大人になったはずだが、それは年齢的な事柄であって、大人とは何か？　という本質的な部分は未だわからないでいる。

この物語が答えを追求するのか、見つけるのか、はたまた投げかけるのか。

淡々と、飾りを極力削ぎ落としたような文体で物語は進行する。

人物や設定に必要以上の色がないせいか、返って現実感のあるストーリーは、登場人物と読者を同化させていく。

ときに痛みや苦痛を伴うこともあるだろう。
文字から目を逸らし、ぬるい現実に安堵することもあるだろう。

願わくば。
坂田さんが、高橋君が、大人にならなくててもいいので、幸せになることを祈ってレビューを終わりにしたいと思う。