イチオシレビュー一覧

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箱のなかには何が残されたのだろう?

ここに小さな箱がある。誰もが生まれた時から持っている、不思議な箱。そこには人生の途中で得てきたいろんな物を詰め込むことができる。

ある人はたくさんの愛を、親や友人からもらうかもしれない。
そういう人はもらった愛を、取り出すことができるかもしれない。

けれども、そうじゃない人もいる。

例えば、最初からずっと箱が空っぽなままな人。
もしくは、箱に穴が空いていて、いつまでも満たされない人。

前者は空っぽなことが普通すぎて、箱に物を入れることがわからない。
後者は人からもらうことが普通すぎて、自分の箱に入るものがなんなのかがわからない。

僕はなんだか他人ごとのような気がしなかった。
ゾワゾワした。きっと人にはこんな虚ろな空洞や、気持ちが抜け出る穴があって、いつまでも満たされない箱を抱えているのだろう。

だから、人は閉じ込めるのだ。
それが勝手に出て行ってはしまわぬように。祈りを込めて。

このヤンデレを見守るために、私は壁になりたい。

  • 投稿者: 佐倉治加   [2020年 02月 03日 20時 48分]
正統派、監禁ヤンデレでした。

どこまでも独善的でブレない兄(しかも強運すぎる)と、不憫を貫いている癖に兄の愛情に身を委ねることを最後まで拒否し続ける妹(運がとてつもなく悪い)のカップル。
兄妹という設定からめっちゃ美味しい。そして二人がどちらも譲らないし、お互いの頑固さの引っ張り合いが絶妙。妹の頑固さは素晴らしいです。

そして、周知の通り、ヤンデレはキャラだけでは成り立たない。彼が歩んでいくヤンデレへの道程は丁寧に書き込まれ、その端々に散りばめられた倒錯的で耽美な情景が、二人の関係性を肯定してしまっている。これ以上ないヤンデレの正義の物語。

是非、あなたのバイブルに加えてください。私はもうバイブルにしました。
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