イチオシレビュー一覧

交通事故。それはとても悲しいことです。

不器用にも愛し合う二人。

実は他の登場人物も不器用です。

不器用ながら生きる人たちの情念を、作者は思慮深く描いていきます。


時に衝撃的であったり、時には笑ったり、でも重苦しい感情などの表現が、読み手に楽しみを与えてくれます。

こういう人々もいる。もし自分がこういう立場になったらどう思うだろうか？
以前は考えもしなかった情景が心を打ち付けてきます。

ふと、今を生きるあなたにも考えさせる。そんな小説です。


追記として、あとがきに神戸の観光案内が毎回書かれています。本編と合わせてお楽しみいただけると望外の喜びです。

ーー私は人を轢き殺した

不運な交通事故により
トラウマを背負った主婦ミツコ。

ミツコは自身を追い詰め
遂には周囲に対しても束縛するようになる。

ミツコの息子シュンは
無意識のうちに自分を貶めるミツコを
疎ましく思っていた……


【テリブル・マザー】


それは決して心を打ち明けてはならない存在。
油断すればつけ込まれるのだから……

あなたも、悲しみましょう？
あなたも、後悔しましょう？
あなたも、不幸を背負いましょう？

ミツコの囁きを振り払う為
シュンは葛藤の日々を送る……



心理学的な考察を基に展開される物語は
読者を唸らせること間違いなし！

交通事故を起こしてしまった母親の息子が主人公です。そんなどうしようもない状況に置かれながら日々を過ごしている主人公が出会ったの一人の女性。そんな彼女に惹かれて、好きになっていく彼ですが、彼女にも救われがたい過去が……
グリム童話の物語と主人公とヒロイン、また他の登場人物の心がマッチしているようなお話だなと感じました。
すごく興味深く読ませていただきました。
お薦めです！

なろうではすっかりお馴染みとなった転生トラック。

――ですが、転生トラックの運転手のその後にスポットを当てた作品は少ない気がします。

しかし、交通事故で人が死んでしまっている以上、そこには加害者の家族と被害者の遺族がいるはずです。

本作はそんな加害者の息子と被害者の姪が、運命の悪戯によって出会うところから始まる、極上のヒューマンドラマです。

良い意味で一筋縄ではいかない息を吞むストーリーは、見応え十分！
物語は今まさに佳境。
読むなら今！
オススメです。

（神戸在住の筆者の手によって描かれる、神戸の観光名所案内も見所の一つですよ！）

思春期は、しばしば「サナギ」に例えられる。

サナギは、幼虫が成虫へと生まれ変わるための準備期間だ。
硬い殻に守られているため、外からは何が起こっているのか全く見えない。


主人公・峻（しゅん）は、大学で心理学を学ぶカウンセラー見習い。
夢を実現させるべく努める峻は、サナギから羽化しつつあった。

羽化は感動の瞬間だが、最も危険でもある。
無防備な状態にさらされるからだ。

峻は、殻から顔を出して外の空気を吸った。
しかしそこはまだ、外ではなかった。

もう一つの殻が……

――家族がいた。

交通事故の加害者である、母がいた。


子どもながらに知っていた、母の苦悩。
大人になりつつある今になって気付いた、家族の現状。

そして峻は、千景（ちかげ）と出会う。
彼女は、交通事故の被害者遺族だった……


凄まじいリアリティで描かれる家族の物語。
これは、あなたの物語でもある。