イチオシレビュー一覧

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王道と独自性のバランスが素晴らしい作品

  • 投稿者: 言ノ葉紡   [2024年 12月 01日 17時 04分]
貧しい下働きの少年が少女と出会うことで世界に飛び出していく王道のボーイミーツガールを踏襲しつつ、他にない独自の世界観で優しい物語が展開されていきます。

序盤、狭い世界で生きながらも憧憬と夢を抱くことを忘れなかった少年時代が丁寧に描かれていたため、三年後の青年時代へと続いた時に物語が大きく動き出すわくわく感をより強く感じることができました。

今までに読んだことのない世界を楽しみたい方に勧めたい作品です。

宝石の様に煌めく、冒険の物語を是非

奇石という謎に包まれた導を辿り、出会うのは広い世界と個性豊かな仲間達。
貧しさ故に下働きをしながら日々をおくる主人公スキラ。彼には夢があった。それは唯一持っている本に描かれているような「冒険」をすること。そして、その物語に登場する人物に会ってみたい―そんな願いを貧しさ故に半分諦めかけていた。
しかし、そんなスキラに転機が訪れる。それは「奇石」と呼ばれる不思議な石。その奇石がもたらす出会いと冒険への誘い。
そんな冒頭はこちらの物語に一気に惹き込まれ、ファンタジーの世界に迷い込んだような没入感があります。

綿密に練られたファンタジーの世界が、きっとあなたをスキラと共に冒険へと導いてくれます。そこで生活する人々の日常風景、道行く景色、そんな情景が心の中で思い描ける素敵な物語を是非とも読んで頂きたい。

ある日、世界が広がった

裕福な家の下働きとして貧しい暮らしをしていた少年が、ふとした出会いから自分が何者なのかを知って広い世界に飛び出す。簡単に言えばそういう話だ。
貧しさとは見ている世界の狭さでもある。働いている家に縛られ、自由に使えるお金もなかった主人公は、住んでいる街から出ることすらほとんど無く、故にそこが世界の全てとなってしまった。そこに、旅人が現れて彼を世界の外に連れて行く。

そういう意味で、個性豊かな旅人の集団というキャラクターたちは、それ自体がインパクトがあり、外の世界の象徴のようで良かった。

そして主人公に、外の世界の情報が洪水のように流れてくる。世界設定を緻密に作り込んでいる作品であり、それを主人公の目を通して見ていくという構成が面白い。

ここから旅に出た彼が、次にどんな景色を見ることになるのか。楽しみだ。

読み進めるごとに物語の虜に……

  • 投稿者: 神崎 ライ   [2024年 07月 30日 22時 41分]
読み始めたらすぐに物語の世界へ入り込んでしまいました。

新暦777年の7の月7日の雲一つない夜空に様々な色の流星が降り注いだことが全ての始まり。
翌日世界の各地に様々な謎の鉱石が突如現れ、やがて奇跡の石「奇石(きせき)」と呼ばれるようになった。

月日は流れ、主人公スキラはある人物たちと出会う……奇石"を調査するミシラバ旅団との始まりだった……

綺麗な言葉で紡がれる物語はいつの間にか物語の世界へあなたを誘うでしょう。
そして、夢中になりすぎるあまり、次へボタンをどんどん押してしまいます。
気になったそこのあなた!
一緒に物語の世界へ旅立ちませんか?

世界観と人物描写が魅力的なハイファンタジー

  • 投稿者: てぃえむ   [2024年 07月 03日 07時 20分]
地の文が美しくて、キャラクターも生き生きとしていて、とても面白かったです。

スキラを中心とした、優しいハイファンタジーの世界観が伝わってきます。人物の描写も見た目からしぐさまで細かく丁寧で、想像しながら読むのが楽しいです。特にファンタジーは個人的にですが想像が捗るジャンルで(異世界ですからね)スキラの一挙一動が個人的には愛らしく感じられました。

奇石という独自な設定もすんなりと受け入れられますし、丁寧な描写が光る、どこか心温まる作品と思います。

奇石が描いた軌跡は、奇譚を彩る奇跡なり

これは奇石の神秘を追う旅人たち、ミシラバ旅団の物語。

丁寧な描写、細かくも分かりやすい世界観、読者を置いていかない余裕のある展開。
これらで綴られた、牧歌的で真っ直ぐな異世界ファンタジー。

それが「奇石奇譚」です。

主人公スキラが辿る軌跡は、実に王道的。
一領主の下での下働きから、国の代理で不思議な石──"奇石"を調査するミシラバ旅団へ。

いつも通りの出来事から繋がった道筋は奇跡的。
少女ライラを初めとしたミシラバ旅団との出会いは、貴石にも代えられないくらい運命的。

奇石が描いた軌跡は、いったいどこへ向かうのか。

落ち着いた雰囲気のハイファンタジーを読みたい方にオススメ!
「奇石奇譚」をよろしくお願いします!
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