イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

阿修羅がなぜ仏法の守護神となったか

  • 投稿者: spinnen   [2020年 06月 14日 18時 33分]
阿修羅といえば、興福寺。
戦闘神でありながら、あの美少女のお顔とスタイルの秘密がわかった。多くの人が美少年と言い、どのようにして仏法の守護神となったか解説しているが、「そうなの?」と疑問ばかりであった。

シッダールタが城を出た訳は、四の門の逸話では無い。
異教の神阿修羅が仏教に取り込まれたのでは無い。
その他色々な疑問が解消された。

最初は神でも仏でもない人間が、それぞれに昇華する過程が生臭くも生き生きと表現されている。
読後の充実感満足感は、一種の悟りかも。

歴史や仏教に興味がない人も十分楽しめます。
アルファポリスでは、芥川龍之介の「藪の中」さながらの手法で全く違う描写がされて、更に興味をそそります。

もしも仏陀が悟りを開かず、剣を手に取ったなら

 誰もが知っている仏教の開祖、仏陀。
 彼が悟りを開く前の姿、シッダールタ王子がもしも法の道を歩まず、その手に剣を取ったなら……。

 この物語は、法の道を歩めば救世主となり、剣を取ったならば地上を制し聖王となるであろうとの予言を受けた古代インドのシッダールタ王子と、最強の戦士阿修羅の物語。
 砂漠で最強の盗賊王“流沙の阿修羅”は、カピラ国の王子シッダールタがまことの印度王の器であるか試すため、自ら戦乱の渦中へと身を投じる。
 そうして出会ったシッダールタ王子との因縁は、まさに運命というべき引き合わせだった。阿修羅の抱える秘密、シッダールタを飲み込む運命とは。

 歴史ifストーリーよりもなお壮大な12万字の物語に酔いしれてみませんか。

美しくも儚い、二人の英傑が紡ぐ物語

  • 投稿者: 地辻夜行   [2020年 03月 17日 00時 10分]
この物語は、草花を流れる朝露のように美しく、そして儚い。

カリスマ性、指導力、血筋。
集団の才能に満ち溢れた、光の道を歩む英傑シッダールタ。

武芸、美貌、経験。
個人の才能に満ち溢れた、闇の道を歩む英傑『流沙の阿修羅』。

それぞれの野心が、過去のシガラミが、運命が二人を引き合わせる時、いったい何が起きるのか?

二人の英傑の運命が寄り合わされ紡がれる物語。
全てを読み終えた時、貴方はこの作品の、まるで葉の上で光輝く朝露のような美しさを噛み締めることだろう。
同時に、重さに耐えかねた葉に落とされる儚さも感じることだろう。

だが、落ちた朝露が大地に染み込むように、この物語は貴方の心に染み渡り、感動という大樹を育てるに違いない。

是非、最後まで読んで頂きたい。

最高の歴史ファンタジー

久し振りに終わって欲しくない物語に出会った。
読み進めたいのだが、終わって欲しくない。
この矛盾は夢中になって読んだ物語にはつき物で、どうしようもないのだが……。

仏陀が戦士だった、という「もしも」から入るこの物語。作者がどれほどこの物語を書くのに勉強したのかがわかる。
紀元前の人間の営みがここには違和感なく見えた。
目の前で展開されているように感じる程の、流れるような文章力に、気が付けば引き込まれながら読む自分がいた。
時には阿修羅になり、時にはシッダールタになる。

緋桜氏の文章は人物が生きている。彼らは戦い、生活し、考え、そして命をかけて人を愛する。
阿修羅、シッダールタ、ダイバダ、リュージュ……誰をとっても、その目線すら想像がつくのである。見事だ。

己の人生に争う彼らの生き様は、美しくさえ感じる。

恐らく私は、もう一度初めからこの物語を辿るだろう。
最高の逸品である。

史実を基にした悲しく儚い物語

この作品の舞台となるのは、古代インド。

2人の人物を中心に綴られる物語である。

1人は『流沙の阿修羅』と恐れられる盗賊。

そしてあの有名な『シッダールタ』である。

運命が2人を引き合わせ、戦火に身を置く姿に

読み手は魅せられていく事だろう。

物語が進むにつれ明かされていく真実。

果たして彼らの行く末は如何に......。

歴史好きな人は勿論、初めて読まれる人にも

オススメしたい作品です。

是非、一読を!



古代インドを舞台に繰り広げられる、血の滾るIF戦記

  • 投稿者: Kei.ThaWest   [2020年 02月 25日 04時 55分]
ゴータマ・シッダールタと言えば仏教の開祖、ブッダのことであると誰もが知っている。
この物語は彼が宗教者として悟りを開く道では無く、現世の王へと至る覇道を歩めばどうなるかという歴史IFストーリーである。

なろうに数多ある歴史小説の中でも古代インドが舞台のものはほとんどない。そういう意味で極めてニッチな作品だと言えよう。
が、そのニッチさ、尖った作風こそが本作の魅力である。

“流沙の阿修羅”と呼ばれる盗賊の男を主人公とし、運命の導きによって出会った二人の男の行く先を描く。

古代インド史が好きな人、挙手せよ。
悟りに至らぬ聖者の軌跡。
激しく猛る男の生き様。
諸手を上げつつ、耽読するがいい。

一言では語れない、物語の深み。

実在する舞台、歴史や人物の名前を知っていれば尚、知らなくても十分に楽しむことができる作品だと思います。
とにかく物語の情景が深い、個々のキャラクターに重みがありその台詞は一言が物語を彩って行く感覚。
チート能力や魔法、スキルなどのファンタジー要素にちょっと飽きたかな?と言う方にはお勧めの作品になっています。
濃厚で重厚感のある壮大な物語をご堪能頂きたい。

歴史を紐解き、新たに綴る物語

  • 投稿者: 退会済み   [2020年 02月 21日 18時 55分]
管理
歴史を紐解けば、この物語出てくる彼らは別の生き方を歩んでいるのだろう。しかし、私はこの物語しか知らない。


乱立する異世界ものの中でも、とりわけ特殊な世界観で描かれていてるため、とっつきにくさを感じるのかもしれないが、まったくそんな事はない。読みやすい文章と魅力的なキャラクターたちの、新たな歴史を共に歩んでいるかのようだ。手に汗握る戦闘シーン、そして流麗な阿修羅。それだけでも読む価値がある。

歴史ものと尻込みしているのなら、どうか一度読んでみてほしい。彼らが紡ぐヒストリーに、次第に呑み込まれているばすだ。

深い深い愛の物語

  • 投稿者: 退会済み   [2020年 02月 21日 11時 47分]
管理
シッダールタ……という名前は知っているけれど、あまりそちらの歴史に詳しくない私。そして戦記もの……うまく読み進められるかな? とドキドキしながら開いた作品でした。

読んでみると、まず異国情緒溢れる砂漠や戦場の描写が目に浮かぶよう!
そして、そこに生きる登場人物が皆魅力的で、一気に読んでしまいました。
シッダールタと阿修羅はこのあとどうなってしまうの! と今から続きが気になりすぎて夜も眠れません。もはや恋に落ちたような感覚です。

これからもふたりを応援しています!

恐らく最古の戦記物

  • 投稿者: 早見 羽流   [2020年 02月 20日 19時 05分]
最古っていうのは、舞台の話ですね。

この物語の舞台は紀元前5世紀の北インドにあたる地域です。
主人公は最強美少年戦士の『阿修羅』そして、小国の王子『シッダールタ』です。

ええ、そうです。あのシッダールタです。『釈迦』とも呼ばれていますね。仏教の開祖の。

史実のシッダールタは、若くして出家してしまうのですが、もしシッダールタが出家しなかったら? というテーマでこの作品は書かれているようです。

私、実は日本史選択で世界史には疎いので、ウィ〇ペディアを開きながら読んでいたのですが、出てくる国の名前、その他の用語が大体史実にも存在していたものだったということに驚きました。

そんな歴史好きにもたまらないのが本作の魅力ですし、歴史が分からなくても阿修羅とシッダールタやその周囲を巡る人間関係、手に汗握る戦闘は、ファンタジーとしても楽しめるものだと感じました。

オススメです。
↑ページトップへ