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心にしみる、リアルな群像劇。何度も読み返したくなる短編です。

  • 投稿者: 砂礫零   [2020年 05月 13日 06時 36分]
高校時代から続く、4人の友情は 『絶妙なバランス』 で成り立っていた……
 物語は、『彼』 の自殺未遂から始まる。
 ……1週間前には4人で楽しく飲んだばかりだったのに。いや、その頃には、すでに始まっていたのか。それとも、もっと前から……?



多くの物語では、登場人物は己の心を腹蔵なく語り、励ましあい、問題を解決していきます。

しかし、現実にはそういうことは、なかなか無いのかもしれません。多くの場合、仲が良くても、人と人との間には、言わないこと・言えないことが存在するし、問題はうやむやなままに流れていきます。……たとえ、同棲している恋人どうしであっても。

そのような部分が、本作では実にリアルに誠実に描かれています。

多くの問題は解決せず、それでも人と人は寄り添って生きていく…… その意味は、作品を読み終えた時、優しく心にしみこんでくることでしょう。
読み返したくなる作品です。
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