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王道のハッピーエンド。「異能」で変わり続ける景色

ネタバレに触れずにレビューするというのは苦手ですが、本作はあらすじの通りに悲劇から始まり、タグの通りにハッピーエンドを迎えるので、読後の清々しさについて触れることを許されるのがありがたい。不幸を押し付けられたヒロインは、ざまあの果てに幸せになる。王道のハッピーエンドです。

ただし本作は、オチが見えた時点で最終話あたりのクライマックスまで飛ばし読みして、それでそれなりの満足感を得られるたぐいの物語ではなく。サラが嫁いだフェリエの人々が持つ「異能」が登場するたびに、物語は奥行きを増し、想像を超えた景色へと変わっていきます。

ハッピーエンドならではの読後の満足感と、少しだけ、鮮やかな手品を見せられたような後味。作者が「異能」に込めた「物語上の異なる能力」について、語り合える誰かが欲しくなるかもしれません。
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