イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

真黒い真黒いお嬢様

 お嬢様は大層真黒である
 それはみどりの黒髪もそうであるし、ぐるぐると渦巻く腹のなかもそうだ
 だが、決してそれが悍ましいとは思えない。数多の色を混ぜたどす黒い闇ではなく、何物にも染まらぬ濡れ羽の漆黒であり、全てを受け入れる夜の帳色である

 何にも厳しく当たり、しかし慈悲と慈愛の念が故に他者に舌鋒でもって「指南」する
 その様を本人が嫌おうと、それでもお嬢様は確と揺るがない

 そんな気高く誇り高いお嬢様の歩む道、それを紡いだ物語である


強い人間、されど「人間」。揺れないはずもなく、情は只人と同じである
なれどもそう見せぬ、その心の強さが羨ましい
↑ページトップへ