イチオシレビュー一覧

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ノベプラにおいては、顔とも言える作品中の一作。

 https://novelup.plus/story/633483237

 タイトルにある「境界線」と呼ばれる不可思議な現象により大陸は両断され、本作における重要な二律する世界観である、人類の生存も難しいとされる向こう側に主人公が旅立ち、消息を断ってしまうところからが導入となる。

 人々が主人公の生還を諦めた頃、戻ってきた彼は――異質とも言える存在に変貌を遂げていた。

 情感たっぷりに描かれるシーンの数々は、作者の筆致によって独特な空気を醸成し、登場する瑞々しいキャラクターたちの魅力が、物語に華を添えている。

 この物語のため、惜しみもなく投じられた私費によって用意されたイラストが『なろう版』では現在、未実装なのは残念なところ。

 あらゆるものが度外視され、創作にかけられた熱量と献身によってのみ成立する、インディーズ作品のあるべき姿を垣間見ることができる、紛れも無い良作。

少年少女たちが戦いの中で自分自身を見つけていく成長譚

 突然現れた魔力の壁により、大陸東西の行き来が不可能となった世界。人々はやがてその壁を“境界線”と呼ぶようになります。
 主人公セイジは、境界線の越境を認められた聖騎士です。『彼の地』へと姿を消してしまった彼は死んでしまったのだと、誰もが考えるようになった頃……。

 セイジと同じく聖騎士となった王女・クリスティアは、彼を捜索するための『彼の地』への任務の後、城下町に凱旋していました。ところがパレードの終盤、正体不明の剣士が乱入します。闖入者と対峙する王女。彼女は謎の剣士を打ち負かします。
 剣士はうっかり首飾りを落としていきました。なんと、そこに刻まれていた名はーー。


 息つく間もなく展開する物語はドラマティックで、切れ味鋭い戦闘シーンが魅力的です。また、少年少女が戦いを通して成長していく様子が繊細で丁寧な筆致で描かれています。
 手に汗握る本格ファンタジーを、是非ご堪能ください。
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