イチオシレビュー一覧

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感染症を克服した世界で、少年はばーちゃんと孤島で暮らす。ほのぼのの裏に隠れた壮大な物語。

  • 投稿者: セカイ   [2021年 02月 27日 23時 29分]
孤島にてばーちゃんと、時折本土からやってくるアカリと三人だけの生活をしているハジメ。
淡々と平和に過ごしていた彼の日常は、謎の男が漂流してきたことで緩やかに変動する……。

感染症が世界を席巻した後を描く本作は、しかしその渦中になく、穏やかにそれを外側から語っていく。
厳しくも優しいばーちゃんと、快活な年上の少女との静かな生活の中で、人がウィルスに蝕まれ、そして抗った過去がゆっくりと紐解かれる。
人が感染症に打ち勝った、その真相が明らかになった時、物語は一気に深みを増す。

夏の健康的な穏やかさとは裏腹に、壮大なテーマをもった本作。
読み終えたら、きっともう一度読みたくなる。

読了したその後で、もう一度読み返してもらいたい物語。

  • 投稿者: 木立 花音   [2020年 06月 23日 21時 48分]
 船が見えるまで、あと十秒。いや、五秒。サン、ニ、イチ──。

 僕とばーちゃんと、二人だけが暮らしている島に、度々やってくる少女──アカリが、荷物を満載したクルーザー船で接岸するシーンから、物語は幕を開けます。
 二人プラス時々一人の、平穏な日常が続くはずだった毎日は、ある日、島に船ごと流れついた漂流者の存在で、少しずつ壊れ始める……。


 この物語に登場してくる主要人物は僅か四人。
 舞台も実にシンプルで、僕とばーちゃんが暮らしている島だけで物語は進行し、そして完結します。

 しかしながら、描かれるテーマは実に壮大。
 物語の中に紛れ込んだ”異物”により日々は変貌を遂げ、やがて世界の構造にまで及ぶ話に発展していくのです。

 結末まで詠み終えたその後で、是非、もう一度冒頭部分を読み返して欲しいですね。

 きっと、なにか違う見え方があると思いますよ?
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