イチオシレビュー一覧

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タイトルから既に、甘苦い仕掛けがこぼれ落ちている。

  • 投稿者: 風佳   [2020年 06月 19日 21時 48分]
「完全なり、マイライフ」
懐かしさと古めかしさと、ほんのちょっとのダサさを含む、絶妙なバランスのタイトル。このタイトルこそが、最高に美味しい意地悪な皮肉を包み隠している。

作り込まれたストーリーに舌を巻く。
まず読み初めは、近未来の図に胸をわくわくさせられる。こんなこといいな、できたらいいな♫がたくさん!
更に、主人公に与えられたミッションが彼の人生の絶頂となり…。

誰もが持ち得ている「自分は特別」ってやつとか、主観と客観のギャップの怖さにゾクっとくる。本当のことを知ることが、果たして幸せなのかどうか。はたまた、本当の幸せとは何か。
読後に広がるキレっキレの甘苦さをご堪能ください。

地球の未来は明るい。人類の未来は……

  • 投稿者: 暮伊豆   [2020年 05月 22日 21時 51分]
完全な人生とは一体どのようなものなのだろうか。
生きとし生けるもの、全ての生物の目的は繁殖すること。生命を次代へ繋ぐことであるはずだ。過去から未来へと。

本作の主人公、仕事は物書き。恋愛小説クリエイター。
前職は眼鏡職人、いや眼鏡デザイナー。

妻も子もいる。
仕事もある。
住居もいい。
収入にも不自由していない。

すなわち完全な人生。

そんな人生において雲上人から舞い込んだ仕事の依頼。
人生最後となるであろう仕事へ全精力を注ぎ込んだ。

命を燃やし尽くした主人公の末路は……


そして人類の未来は……

素晴らしい未来の生活を覗いてみよう

  • 投稿者: 伊賀海栗   [2020年 05月 22日 13時 29分]
舞台は現代よりもう少し先にある近未来。
死を目前にした主人公が、「俺は世界を救った。ちょっと自慢なんだ」と回想する。

スタイリッシュで快適な未来人の生活は、いつか映画やアニメで見た世界のようだ。
憧れや夢が詰まっていて、私は読み始めてすぐに心を奪われた。

完全だ。
主人公の目を通して見た未来は、QOL(クオリティオブライフ)を上げることにのみ心血を注いで生きていくことができる未来は、私の目には「完全」に映った。

そして死を迎える主人公。
明かされる真実。
果たしてこれは完全なる人生なのか。ユートピアなのか。ご自身の目で判断してほしい。

ショートフィルムを鑑賞したような読後感。余韻までしばらく楽しめるので、是非。

何をもって「完全なり」なのか

  • 投稿者: 水渕成分   [2020年 05月 20日 22時 25分]
今、私たちがこの場で存在していること。
それが生体としても、意識としても、それは極めて「流動的」なものである、別の言い方をすれば、「不完全」なものなのでしょう。

では、それを「完全」なものとするには?

それが私の捉えたこの物語の主題です。

物語は、日常と不思議なものの接触から始まります。

物語が少しずつ少しずつ進行すると共に、日常も一枚ずつ皮を剥くように、尋常ではない姿を見せていきます。

そして、ラストで判明することとは?

後はぜひあなた自身の目でお確かめください。
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