イチオシレビュー一覧

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『想い合うほど手を伸ばすことを躊躇う恋』を描いた恋愛作品

この物語は異性の顔をはっきりと見ることができない病を抱える主人公とヒロインを主軸に置いた作品となっています。

互いが意識をむけ始めたきっかけは、転校してきたヒロインに目をやると、

『どういうわけか、顔がはっきりと分かる』

という、病気の症状の特異な彼(彼女)を互いに興味を持ったというもので、

小さな興味から恋愛へを描き、また、どうして互いの顔を見ることができたのかという真相を知るまでがストーリーとなっています。

『まつりの花』を見たあの夜の気持ち、2人の大きな障壁、または繋がりとの向き合い方と選択、

読む人によって、話の受け取り方が変わる構成で書かれた深みのある作品になっていますので、ぜひご一読を...。

描写が丁寧に書かれているので読みやすいと感じる、素敵な作品でした。

花に隠れた痛切な毒にやられる青春小説

  • 投稿者: 葉霜雁景   [2021年 03月 07日 12時 45分]
 相貌失認――他人の顔が見えなくなってしまう病を患い、特に女性の顔を認識できない主人公、早坂翔。そんな彼の前に現れたのは、唯一顔を認識できる少女、水瀬茉莉。

 小学校で初めて出会い、中学校で距離を縮めていく二人。しかし、茉莉に惹かれていく中で、翔は彼女に秘められた陰を知る。

 読みやすい文章に導かれるまま読み進めて行くと、終盤で待ち受けている毒に、翔共々苦しめられることになるでしょう。読了後も残る毒は、切なくも不思議と明るく爽やかな余韻を味わわせてくれます。

 残酷な暗部を孕んでいるからこそ、咲く花は美しく尊い。痛切な毒でより美しさの際立った物語に、ぜひ痺れてください。

【二人を結びつけるのは〝相貌失認〟と言う人知れぬ病】小学〜高校の時の流れの中で翔と茉莉が紡ぎ出す恋の物語【重荷だったはずの病は愛し合う二人の絆となる】

  • 投稿者: 美風慶伍   [2021年 02月 14日 12時 19分 ()]
■恋愛物は一種のファンタジアだ。ハイファンタジー作品よりもより精密かつ繊細な演出を必要とするファンタジア。本作にはそれがはっきりと現れていると言える
■物語は〝相貌失認〟と言う特殊な疾患が重要なキーとなる。物語の当初ではその病が主人公である〝早坂翔〟の人生において大きな足かせとなっている。だが翔が一人の少女〝水瀬茉莉〟と出会ったことで彼の運命を変える大きな鍵へと変化する
■茉莉もまたその人生において大きな重荷と足枷を背負っていた。それが翔との出会いの中で劇的に変化していくのだ
■親しい級友の域を出なかった小学校時代から、学校祭のクラスアート作成を通じて二人は急速に距離を近づけ、お互いの抱えた困難を乗り越える鍵を見つける
■そして迎えた学校祭本番、恋物語は結末を迎え、また新たなドラマがエピローグで素晴らしいラストを奏でる
■物語の随所に仕掛けられた〝演出〟が何よりも素晴らしい爽快な名作だ

女性の顔が識別できない病の少年と、美しすぎる美貌を持つ美少女との、ピュアラヴ・ストーリーです。

  • 投稿者: 退会済み   [2020年 08月 25日 10時 57分 ()]
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 この物語は、相貌失認という病気で女性の顔が認識できない少年 、
早坂翔(はやさかしょう)と、小学校の時に転校してきた時に初めて出会った、
凄く美しい少女、水瀬茉莉(みなせまつり)との恋愛劇です。

 翔はなぜか、ひどく美しいけれど、冷淡さを感じる茉莉の顔だけは認識できるのでした。

 この作品を開いた途端に、非常に繊細かつ、美しい表現力を帯びた文章で、読み手に鮮やかな想像力を呼び起こし、ステキなピュアラヴ・ストーリーの世界観へと誘います。

 あまりの素晴らしさと、クオリティの高さ、そして特筆しべきは、先の続きが気になるストーリー展開の上手さにあります。

 作者さまが特別な想いを込めて綴った、とても素敵な恋愛小説です。
ぜひ一度は目を通して頂ければ、幸いです。
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