イチオシレビュー一覧

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いつかの夢を叶えた人も、そうでない人も。

  • 投稿者: 伊賀海栗   [2020年 07月 27日 07時 33分]
子どもの頃の夢、覚えいてますか。
それを叶えることはできましたか?
私はできませんでした。あの頃たくさん抱えていた夢の、何ひとつ。

本作の主人公は勉強の甲斐あって大学へと進学できたのに、軽度の鬱となって療養することに。
日課の散歩中に聴こえて来たフルートの音色が、彼女に真実を気づかせてくれます。

主人公の回想に、苦悩に、読者の多くはいつかの自分を重ねてしまうのではないでしょうか。
そして、今まで自分がどのようにして夢から遠ざかり、諦め、折り合いをつけてきたか振り返ってしまうのです。

けれども物語の終わりには、主人公と一緒に自分自身もまた救われた気持ちになると思います。
じたばたともがいてきた自分を改めて受け入れられるような、そんな気持ちに。
爽やかな読後感です。是非。

繊細な心の揺れが綺麗に活写されています

  • 投稿者: 水渕成分   [2020年 06月 10日 09時 57分]
人の心というものは、揺れ動くものなのです。

ことに繊細さが際立つ若き日々にあっては……

誰でもそうですが、未来はよく見えません。

なのに、そう長くもない筈の過去の影だけは、心を圧し潰してしまおうとしたりする。

時には疲れてしまって、立ち止まってみてしまったりすることだってあるでしょう。

ただ…… 本作の主人公がそうであるように、真摯に生きていれば、ちょっと優しい奇跡の後押しの風が吹いたりするんじゃないでしょうか?

優しいお話。短編で読みやすいです。

ご一読をお勧めします。





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