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柔らかな尾張弁で語られるは、しなやかに生きる戦国一の美姫の物語

  • 投稿者: 神山雪   [2021年 03月 03日 21時 21分]
お市の方といえば、織田信長の妹御にして戦国一の美女としても有名な女性です。信長の兄弟、といえば真っ先に頭に上がってくる方ではないでしょうか。
そんなお市の方の「伝奇小説」と言えるこの作品。
この作品のお市は、深窓の令嬢のような「後ろに下がる」女性ではなく、馬に乗り回り、街に繰り出し、流暢な尾張弁で快活話す、大変「生き生きとした」女性として描かれています。そりゃそうだよね。短気で有名な信長の妹が、淑やかなわけねーだろ、という説得力があります。
市の生き生きとした様子の地盤を固めているのが、しっかりとしたその時代の風俗・文化・食事等の描写です。これが読んでいてまた楽しい。
歴史は変えられませんが、彼女がこの後、どのように生きていくかを見届けたい。そんな作品です。
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