イチオシレビュー一覧

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世界は、動く。そしてその奔流の中で……僕たちは生きている。

本作は水渕成分さんが紡ぐ【夏の光企画】参加作品である。

舞台は、アメリカ。
環境問題や社会問題が原因で第3次世界大戦が起こり……一応の終結を見てから数十年後の、雨ばかりが降るような環境に世界が変貌してしまった未来。

主人公は、そんな環境を生き抜く2人の兄弟。
そしてその2人の祖父には……いや、正確には彼の栽培する食料には世界の命運がかかっていた。

渦巻く陰謀。来たる大統領選。人材問題。環境の変化。盗まれる食糧。そして、それらの果てにあるのは――。

もしかすると、これから先の未来で……実際に起こるかもしれない物語です。

もしも、こんな未来が本当に訪れた時……あなたならば、どう動きますか?

そう遠くない未来予想図

  • 投稿者: 暮伊豆   [2020年 09月 25日 14時 21分]
地球温暖化が進むとどうなってしまうのか。
私には分からない。
ずっと雨が降り続けるのか。
はたまた日照りが続くのか。

どにらにしてもそうなってしまった時、必要となるのは食糧であることは間違いない。
まともに育つかどうかはともかく。

そんな世界で野菜を育てる老技師『フナツ』

彼が言うには……
「ニホンが滅びたのは人類の愚かさではない」
「人類が地球温暖化に負けただけのこと」
「だから次は勝つ」

そう言って環境に適応できる野菜を生み出し続けていた……


そんな彼の遺志を継ぐ二人の兄弟の行く末やいかに。
逆境に負けない。
鳴き声を言っても始まらない。
そんなメッセージが伝わってくるかのようです。

容易く逆境に折れる私のような人間に強く刺さる作品です。

『地球温暖化』が進み『日本』が滅びた世界でひたすら『トマト』を作る。

  • 投稿者: 黒猫虎   [2020年 08月 15日 14時 45分 ()]
最近、日本もですが世界的に豪雨水害多いですよね。
このままいくと世界どうなっちゃうんでしょう。
薄々きっと、皆さん、気づいていますよね。

――世界は滅びるかもしれないって。

この物語は、近未来をかなり正確に予言している(かもしれない)空想科学SF読み物です。

舞台は近未来のアメリカ、主人公は日系人の少年です。

『地球温暖化』が取り返しがつかない程進んでしまった世界。

『第三次世界大戦』。

『雨』ばかりが毎日続く世界。
『晴れ』が無くなった世界。

『日本』が亡くなった世界。

『雨よけトマト』を作り続ける元日本人の祖父。

祖父の意思を継いで農産物の研究を続ける主人公。
大統領選に出馬する兄――。

銘尾友朗様の「夏の光」企画参加作品。
約7,000文字の読み易さと読み応えの両方を兼ね備えた丁度いい文量。

この夏、この衝撃作を貴方に届けたい。
ぜひご一読ください(。・ω・。)

今の様な未来のお話

  • 投稿者: 秋の桜子   [2020年 08月 09日 11時 30分]
我が地方は、今年は雪が降りませんでした。積もらない冬。
温かく過ごしやすい、そんな冬が終わると、寒い春が来ました。夏野菜の芽が出ず苗を育てるのが難しい春。

冬に降らない分、何時までも何時までも雨が続いた夏前半、まるで積雪量を取り戻すかの様に。

そして葉月、植え付けている夏野菜は根の張りが広くて浅い、土中水分が多いからだ。深く深く根を潜らせずに育ってしまった。

この先猛暑が来るという。日照時間を取り戻す様に晴れるのだろうか。冬野菜の種まきが来ている。10月迄高温と言う。育てられるのか。

作中の祖父が『雨よけトマト』『雨よけほうれん草』覚えておきなさい。深い言葉がラストに繋がる。未来はどうなるのか。彼ならきっと乗り越えて行くと思う。

冒頭のトマトの摘心、読むと、青臭い真夏の香りがふと、私の鼻孔をくすぐり、描写が素敵な作品です。

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