イチオシレビュー一覧

　巨大過ぎる力に目覚めた少年が、過去の真実や自分の闇と向き合い、もがき苦しみながら世界の平穏を願う。本作は決して綺麗な英雄譚ではなく、地獄のような日々の中で「自分」を見つけていくダークファンタジーです。

　読み始めたら止まらなくなり、文字通り、寝る間も惜しんで作品に浸ってしまいました……最高。大長編ですが、じっくり読み耽るだけの価値が本作にはあります。

　主人公の大河は周囲から疎まれて育ち、最初は弱々しくて頼りない少年でした。しかし、そんな日々は強制的に塗り替えられる。登場人物たちは皆、それぞれの人生と覚悟を背負って生き……割り切れない感情がぶつかり合いながら、この物語は紡がれていきます。
　力とは何か、孤独とは何か、邪悪とは何か。読んでいるだけで胸が締め付けられるようでした。

――その結末は、ぜひ皆様も読んで確かめてください。

　きっといつまでも心に残る読書体験になるはずです。