イチオシレビュー一覧

▽レビューを書く

小さな星の、話をしよう

我々の中には、優れた存在にしか目を向けず、
それどころか見捨てた存在を嘲笑う悲しい存在が何人もいます。
その存在に見捨てられた存在の中には、
まだまだ光り輝く事ができる存在が、たくさん存在するというのに……。

そんな人間がまさに身近にいる私としては、この物語は、ある意味救いと言ってもいい物語です。

主人公のルナルナや、そのおじいちゃんが育てた小さな星たち。

1つ1つはちっぽけな光だけど。
普通の星と比べると不完全かもしれないけれど。

だからこそ大いなる可能性に満ちているのだと……この作品を読んで、世界中のみんなに、是非とも伝わってほしいと私は思いました。

夜空の星を見上げながら、きっと思い返したくなる。星拾いの女の子を描いた素敵なメルヘンです。

「メルヘン」という美しい言葉にふさわしい、小さな宝物のような物語をご紹介します。

雲の上の世界にいながら、空を駆ける能力がなかった女の子、ルナルナ。
彼女は今日も、たったひとり砂浜で、星のかけらを集めています。
なんのために?
夜空から落ちてしまった星たちを、ふたたび輝かせるために。
飛行ができず、<星使い>になれなかった自分のような子でも、きっとできることがあると信じて──。

ルナルナの思いに共感しながら、澄んだ星空の世界に入り込んでいけるのが、このメルヘンの魅力です。
<星使い>、<星繋ぎ>、そして<星育て>。
イメージ豊かなたくさんの言葉が、いたるところに散りばめられ、きらきら輝いて物語を彩ります。

そして、読み終えた私たちの胸にも、小さな星を残していってくれるのです。
↑ページトップへ