イチオシレビュー一覧

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世界が泣いているようだった

  • 投稿者: 宵凪海理   [2021年 01月 20日 17時 40分]
「決して声を出してはならぬ」
その少女が口を開けば、災いがもたらされるという託宣。
故に、彼女は幼少期から声を出さぬように言い含められてきた。
神殿によって封じ込められて。
そんな彼女自身を見てくれた人もいたけれど……。

これまでの積み重ねを想えば、あの結末は避け得ぬものだったでしょう。
恐ろしいものを遠ざけるばかりで、正しく向き合わなかった。
その結末を、ご覧あれ。

哀れな人間は自らの手で滅びる事を選んだ事にすら気がつけない。

  • 投稿者: 鞠目   [2020年 12月 17日 19時 01分]
 主人公の乙女の口には禍があります。世界を滅ぼしかねない禍が。しかし彼女はその事実を知らされる事なく、「決して声を出してはならない」という理不尽な戒めを課せられ神殿での暮らしを強制されます。その結果いつしか彼女は心を凍らせてしまいました。

 しかし、そんな彼女の前に素敵な男性が現れます。彼は彼女に禍の事実を告げるだけでなく、森の小さな塔に彼女を住まわせました。殿下と呼ばれるその男性は彼女を普通の人間として扱い、彼女に愛を与えました。

 これ以上詳しくは申し上げられません。ラジオ企画の短編作品であるが故にネタバレになりかねませんので。ですがこのお話はきっとあなたの心を打つでしょう。それだけは明言できます。

 乙女に、殿下に待ち受ける現実を、その結果人類にもたらされる結末を是非あなたもその目でご覧ください。

真に愚かなのは物を知らないことではない。自らが物を知らないことから目を逸らし、取り繕うことだ。

  • 投稿者: 水渕成分   [2020年 12月 02日 22時 14分]
「なろうラジオ大賞2」参加作品だそうです。

そのためジャスト1000字の異世界恋愛。

こういった制限下でここまで読ませるストーリーテリングに作者様の並々ならぬお力を感じるのは私だけでしょうか。

さて、この物語は悲劇です。

「口を開けば、世界が滅ぶ」。そんな託宣を受けてしまい、一人、隔離された生活を送って来た女性主人公。

そんな彼女に優しく接した王子。

だけど、彼は疎まれて戦争の最前線に送られてしまいます。

託宣を下した神殿の面子を潰したから……

そして、王子の死を知った主人公は……

真に愚かなのは物を知らないことではない。自らが物を知らないことから目を逸らし、取り繕うことだ。

私はそう思います。

あなたはどう思いますか? ぜひ、この作品をお読みになり考えてみてください。
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