イチオシレビュー一覧

人それぞれ幸せの形があります。
美味しいものをたくさん食べるのも幸せ。
友だちとワイワイ騒ぐのも幸せ。
子どもの成長を見るのも幸せでしょう。

常にみんなが同じだなんて限らない。
家族が寝ている時間に帰ってきて、一人でお酒を飲むのが幸せと感じる瞬間もある。

苦労があるから幸せも感じるのでしょう。
平坦な毎日にはなかなか幸せを見つけるのは難しいかも知れない。

君がいて、ボクがいる。
たったそれだけのことが真の幸せなのかもしれない。

結婚して10年の節目。
せっかくだから何かしたいと思う人も多いでしょう。
この物語の主人公、むーさんもそんな1人……　愛する嫁のために、あれこれと考えます。

……　スイートテンダイヤモンドか？　いやいやスイーツ食べ放題の方が嬉しいはずだ。
……　旅行はどうだろう？

思い悩みつつ、仕事帰り、嫁のためにちょっとしたお土産を買うむーさん。
ちょっとしたことで喜んでくれる嫁が、かわいくて仕方ないのです、たぶん。

帰宅したむーさんは、嫁にお土産を渡してふたりの晩御飯。
どこか行きたい？　なんて会話をしながらの、特に御馳走でない普通の食卓です。
むーさんは、嫁がつつましすぎて少し困り気味……　せっかくの結婚10周年なのに。

けれども読者の方は、その会話に溢れる温もりと幸せ感に、きっとノックダウンされることでしょう。

ありふれた幸せこそが尊く貴重なのだと、思わせてくれる短編です。