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「インスタントな異世界転生ものの短編小説」に異世界転生した人は、何を思うのか?

タイトルのように入れ子構造になった世界を、短編できちんと描いています。

中でも面白いのが、悪役令嬢・ざまぁといったジャンルによく登場する「おばかさん」の描き方です。インスタントに書かれたものほど現実味が薄い人物像になりがちでしょう。ときにはカタルシスを感じるより前に「こんなやついるかよ」なんて、思うこともありませんか? 作者さんはそんな彼らに着想を得て、物語の舞台を選びました。

この入れ子状の舞台の上で描かれる悪役令嬢や転生者たちは「ああ、こんな人だからこんな行動をしたんだ」という現実味を持って、読者に語りかけてきます。私はそこに、なろうで日々生まれては消費されていく「おばかさん」への愛あるまなざしを感じられました。

文字数も2万字弱と手ごろなので、ひとつお休み前に“おばかさんたちへの愛”をご覧になってみてはいかがでしょうか?
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